・脂肪肝の原因として最も多いのはアルコールであるが, アルコールによらない脂肪肝、脂肪性肝炎もある.
・非アルコール性脂肪肝全体をNAFLDと呼び, さらに肝炎に移行する例を脂肪性肝炎(NASH)を呼ぶ. NASHは肝癌や肝硬変の原因となる
一般人口の20%, 2型DM患者では70%でNAFLDを認める.
日本国内では29.7%(男性41.0%, 女性17.7%)
NASH(Non-alcoholic steatohepatitis)はNAFLDの第二ステージであり, 一般人口の3-5%で認められる.
(BMJ 2014;349:g4596)
・非アルコール性とは, 女性で<20g/d(2.5U), 男性で<30g/d(3.75U)のアルコール摂取量で定義される.
NAFLDは日常診療でも多く診療する機会があるが, 重要なのはその中のNASHをしっかりと拾い上げ, 対応すること.
・NASHの評価には肝生検が必要となる.
しかしながら, 全てのNAFLD患者で肝生検を行うわけにはいかない.
従って, どの患者群で生検を行うかを吟味する必要がある.
NASHのリスク評価
NAFICスコア
項目 | カットオフ | pt |
フェリチン値 | >200(女性), >300ng/mL(男性) | 1pt |
空腹時インスリン | >10µU/mL | 1pt |
4型コラーゲン7S | >5.0ng/mL | 2pt |
≥2ptで感度60-66%, 特異度87-91%でNASHを示唆する
FIB4 index
年齢(y) x AST/PLT(x103/µL) x √ALT
≥1.30で感度74%, 特異度71%
≥2.67で感度33%, 特異度98%で重度の線維化を予測
(World J Gastroenterol 2014 January 14; 20(2): 475-485 )
BARD score
≥2ptで感度91%, 特異度66%で3−4度の線維化を示唆する.
(World J Gastroenterol 2014 January 14; 20(2): 475-485 )
NAFLD fibrosis score
-1.675 + 0.037x年齢(y) + 0.094xBMI + 1.13x(耐糖能障害) + 0.99xAAR -0.013xPLT(x103/µL) - 0.66xAlb(g/dL)
・耐糖能障害, 糖尿病があれば1, なければ0
・ARR: AST/ALT比
≥-1.455で感度77-82%, 特異度71-77%
≥0.676で感度43-51%, 特異度96-98%で重度の線維化を予測.
(World J Gastroenterol 2014 January 14; 20(2): 475-485 )
NAFLD fibrosis score
-1.675 + 0.037x年齢(y) + 0.094xBMI + 1.13x(耐糖能障害) + 0.99xAAR -0.013xPLT(x103/µL) - 0.66xAlb(g/dL)
・耐糖能障害, 糖尿病があれば1, なければ0
・ARR: AST/ALT比
≥-1.455で感度77-82%, 特異度71-77%
≥0.676で感度43-51%, 特異度96-98%で重度の線維化を予測.
(World J Gastroenterol 2014 January 14; 20(2): 475-485 )
FIB4 index
年齢(y) x AST/PLT(x103/µL) x √ALT
≥1.30で感度74%, 特異度71%
≥2.67で感度33%, 特異度98%で重度の線維化を予測
(World J Gastroenterol 2014 January 14; 20(2): 475-485 )
BARD score
項目 | カットオフ | pt |
BMI | ≥28 | 1 |
AST/ALT ratio | ≥0.8 | 2 |
2型糖尿病 | あり | 1 |
(Frontline Gastroenterology 2014;5:211–218. )
上記のような予測スコアはあり, それらの項目を見てみると,
病歴, 所見: 年齢, BMI, 2型DM,
検査: PLT, AST/ALT比(≥0.8), フェリチン値, 4型コラーゲン7S, 空腹時インスリンあたりがリスク評価として使用は可能.
・例えば, (World J Gastroenterol 2014 January 14; 20(2): 475-485 )では以下のようなアルゴリズムが提示されている.
FIB4とNAFICを評価し, 肝生検の適応を決めている.
上記は計算が結構めんどくさく, すぐに計算が可能なソフトがあればそれでもよいかもしれない.
・また, JAMA. 2015;313(22):2263-2273. では,
NAFLDにおいて, NASHのリスク因子がある場合(糖尿病, 高血圧, 中心性肥満, 高TG, ≥60歳, 糖尿病の家族歴)または肝硬変を疑う所見がある場合(AST>ALT, PLT低下, INR亢進, Bil上昇など)に, 非侵襲的な画像検査を行い, それで肝硬変の所見がない場合に生検を考慮するとしている.
・ちなみに, NAFICスコアは日本国内で評価され, Validaitonも行われているスコア.
またBARDスコアも合わせて, 覚えやすく、計算もしやすい.
これらをふまえると,
以下の2項目以上
フェリチン高値, 空腹時インスリン高値( or 2型糖尿病), BMI≥28
以下の1項目以上
4型コラーゲン高値, AST/ALT≥0.8
がある場合は生検を考慮すべきという考えもありかもしれない.
(自分個人的にはこの方法で考えています)
ちなみに, NASHにおいてAST/ALT比は重要で, 線維化が進行するとAST/ALT比は増大する.
特に敏感になりましょう
上記のような予測スコアはあり, それらの項目を見てみると,
病歴, 所見: 年齢, BMI, 2型DM,
検査: PLT, AST/ALT比(≥0.8), フェリチン値, 4型コラーゲン7S, 空腹時インスリンあたりがリスク評価として使用は可能.
・例えば, (World J Gastroenterol 2014 January 14; 20(2): 475-485 )では以下のようなアルゴリズムが提示されている.
FIB4とNAFICを評価し, 肝生検の適応を決めている.
上記は計算が結構めんどくさく, すぐに計算が可能なソフトがあればそれでもよいかもしれない.
・また, JAMA. 2015;313(22):2263-2273. では,
NAFLDにおいて, NASHのリスク因子がある場合(糖尿病, 高血圧, 中心性肥満, 高TG, ≥60歳, 糖尿病の家族歴)または肝硬変を疑う所見がある場合(AST>ALT, PLT低下, INR亢進, Bil上昇など)に, 非侵襲的な画像検査を行い, それで肝硬変の所見がない場合に生検を考慮するとしている.
・ちなみに, NAFICスコアは日本国内で評価され, Validaitonも行われているスコア.
またBARDスコアも合わせて, 覚えやすく、計算もしやすい.
これらをふまえると,
以下の2項目以上
フェリチン高値, 空腹時インスリン高値( or 2型糖尿病), BMI≥28
以下の1項目以上
4型コラーゲン高値, AST/ALT≥0.8
がある場合は生検を考慮すべきという考えもありかもしれない.
(自分個人的にはこの方法で考えています)
ちなみに, NASHにおいてAST/ALT比は重要で, 線維化が進行するとAST/ALT比は増大する.
特に敏感になりましょう
Am J Gastroenterol 1999;94:1018–1022.