ブログ内検索

2016年2月19日金曜日

入院患者の静脈血栓症予防目的に抗凝固薬を使用した患者群における出血リスク

入院患者の静脈血栓症予防目的に抗凝固薬を使用した患者群における出血リスク(長い!)

を評価するスコア: IMPROVE bleeding risk score(BRS)

IMPROVE: 急性疾患で入院となった成人症例における,VTE予防目的の抗凝固療法を評価したCohort study. (外傷や手術治療例は除外)

このCohortにおいて, 出血リスクとなる因子を抽出し, 出血リスクを評価するスコア「IMPROVE BRS」を作成 (CHEST 2011; 139(1):69–79)
・Major bleeding: 致死的な出血, Hb≥2g/dL低下する出血, 輸血(4U)を必要とする出血, 致命的な臓器の出血(頭蓋内, 後腹膜, 眼球内, 副腎, 脊髄, 心膜内)
・Nonmajor but clinially relevant: 消化管出血(痔核を除く), 肉眼的血尿, 鼻出血(処置が必要, 再発性, 5分以上持続), >5cmの紫斑, 血腫, 関節内出血, 月経過多/子宮出血など.

出血リスク因子:

リスクから作成したスコア: IMPROVE BRS
リスク因子
点数
男性例
1.5
年齢: 40~84歳
2
 年齢: 85歳
3.5
ICU/CCU管理
2.5
中心静脈カテーテルあり
2
担癌患者
2
リウマチ性疾患あり
2
3ヶ月以内の出血歴
4
活動性の胃十二指腸潰瘍
4.5
腎不全: GFR 30-59mL/分
1
腎不全: <30mL/分
2.5
肝不全(INR>1.5)
2.5
血小板 <5万/µL
4

IMPROVE BRS <7.0点では, Major bleeding 0.4%, 全出血は1.5%
IMPROVE BRS ≥7.0点では, Major bleeding 4.1%, 全出血は7.9%

このIMRPVE BRSのValidaitonがでました.
入院患者でVTE予防目的に抗凝固薬を使用する1668例を前向きにフォローし, IMPROVE BRSと出血リスクを評価 (CHEST 2016; 149(2):372-379)
・IMPROVE BRS <7.0では, Major bleedingは1.6%, ≥7.0点では5.4%
・抗凝固薬によるVTE予防をしている患者群においてIMPROVE BRS ≥7.0はMajor bleedingリスクを上昇させる(HR 2.6[1.1-5.9])


------------
入院患者におけるVTE予防は出血リスクも考慮しつつ適応を考える必要がありそう.
でも高齢男性でICU管理でCVC入っていたらもう満たしてしまうんですよね...