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2016年2月8日月曜日

敗血症治療中の心房細動にはベータ阻害薬がよいかもしれない

米国のBilling data(20%程度の米国の病院のデータが集約)より, 敗血症の管理中にAfが出現し, 薬剤の経静脈投与により治療した症例を解析.
・敗血症の管理中にAfを認めたのは39693例.
 平均年齢は77±11歳, 女性例が49%
・Ca-ch阻害薬で治療したのが36%と最多.
 ついでβ阻害薬が28%, ジゴキシン 20%, アミオダロン 16%.

これらの薬剤選択群でPropensity score matched analysisを行い, 薬剤選択による予後への影響を評価した.
・Afは新規発症Af(管理中に発症)と持続性Af(入院時よりAfあり)を分けて評価.
(CHEST 2016; 149(1):74-83)

アウトカム

β阻害薬 vs Ca-ch阻害薬: 
・院内死亡率は18.3% vs 20.0%, RR 0.92[0.86-0.97]と有意にβ阻害薬の方が死亡リスクが少ない結果.
・新規発症Af, 持続性に関わらず, 有意差あり
・また, 昇圧薬を使用している群でも同様. 昇圧薬を使用していない群では有意差なし

β阻害薬 vs ジゴキシン:
・院内死亡率は20.5% vs 25.7%, RR 0.79[0.75-0.84]と有意にβ阻害薬でリスクは低い
・Afのタイプ, 昇圧薬の使用の有無でも変わらない.

β阻害薬 vs アミオダロン:
・院内死亡率は27% vs 42%, RR 0.65[0.61-0.69]
・Afのタイプ, 昇圧薬の使用の有無でも変わらない.

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静脈投与のβ阻害薬にはエスモロール(ブレビブロック®)とランジオロール(オノアクト®)がある.
エスモロールは術中の不整脈にしか適応がないため, 必然的にICUで使用する場合はランジオロールとなる.

投与方法, 量は以下のとおり(添付文章より)
ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する。

ランジオロールの不整脈コントロールについてはJ-Land studyが有名.
J-Land: Af, A flatterでLVEF 25-50%の200例を対象としLandiolol群 vs Digoxin群に割り付け比較したRCT. (Circ J 2013; 77: 908 – 916) 
・Landiololは1-10µg/kg/minで持続投与. ~72h継続.
・Digoxinは0.125-0.25mgを1回投与. 必要に応じて追加も可能.
 経口で使用している患者では0.125mgを考慮する.
・心拍数コントロールはHR<110bpm, 基礎値より20%以上の低下があればコントロール良好と判断.

アウトカム:
・HRと血圧の変動: LandiololではHRの低下は良好. 血圧も低下する
・HRコントロール成功率もLandiololで良好.
・副作用も両者で有意差はない.
 ただし低血圧リスクはLandiololで高い可能性がある

J-Landのサブ解析のStudyより (Adv Ther (2014) 31:426–439 )
primary endopoint: HRコントロール

サブ解析(副作用)