American Journal of Emergency Medicine (2012) 30, 426–431
典型例は小児における腹痛, 胆汁性嘔吐, イチゴゼリー状便.
好発年齢は2mo-6yr, 特に5-12moで多い疾患.
90%が小児例であり, 成人例は僅か5-10%のみとされている.
90%が小児例であり, 成人例は僅か5-10%のみとされている.
0-36moの腸重積例のRetrospective study.
腸重積疑いで画像検査された201名中, 124名が腸重積(+)
腸重積を示唆する所見として, 嘔吐, 腹痛, 鮮血便がある
腸重積の症状頻度(過去の症例データを含む頻度)
潜血便を伴う腸重積は症状出現から平均24hr経過している.
一方, 潜血便(-)群では発症から平均11hrと短い.
発症短時間では潜血便陰性例が多いと言える.
一方, 潜血便(-)群では発症から平均11hrと短い.
発症短時間では潜血便陰性例が多いと言える.
腸重積に対する所見, 検査の感度, 特異度
特異性が高い所見はRUQの腫瘤. 感度が高い所見は血便.
診断にはエコーが感度, 特異度共に優秀と言える.
小児の回腸〜結腸腸重積例におけるエコーの感度, 特異度はこちらを参照
成人の腸重積 Postgrad Med J 2005;81:174-77
成人の腸重積は稀; 2-3/1,000,000/year
成人入院の0.1%
60-70%が腫瘍に合併する
腫瘍性の内, 70%が悪性腫瘍 (Am J Surg 1976;131:758-61)
腫瘍性の内, 70%が悪性腫瘍 (Am J Surg 1976;131:758-61)
小腸重積の場合, 57%が腫瘍性, 内30%が悪性腫瘍, とやや低く転移性腫瘍が多い
大腸, 肛門重積の50%に悪性腫瘍を合併, 残りは良性腫瘍
腸重積のタイプと頻度 J Am Coll Surg 1999;188:390-5
Enteroenteric ⇒ Jejunojejunal, ileoilealなど
Colocolic ⇒ Colocolic, Sigmoidorectal
Enterocolic
⇒ Ileocolic type; ileocecal Valveを脱出し, 上行結腸内へ. 盲腸, Valveは元の位置のまま
⇒ Ileocecal type; ileocecal Valve, もしくは盲腸内へ重積する
⇒ Ileocolic type; ileocecal Valveを脱出し, 上行結腸内へ. 盲腸, Valveは元の位置のまま
⇒ Ileocecal type; ileocecal Valve, もしくは盲腸内へ重積する
タイプ別の頻度は
Enteroenteric 39%
Ileocolic 13%
Ileocecal 17%
Colocolic 17%
Appendicocecal 4%
胃, 十二指腸 6%
ストーマ 4%
Ileocolic 13%
Ileocecal 17%
Colocolic 17%
Appendicocecal 4%
胃, 十二指腸 6%
ストーマ 4%
非腫瘍性腸重積 Postgrad Med J 2005;81:174-77, Radiol Clin N Am 2003;41:1137-51
Idiopathicは小腸性で16%, 大腸性で5%
Colonic Intussusceptionの30%は非腫瘍性腸重積
術後癒着, Meckel憩室が2大原因
他は大腸, 虫垂の炎症, リンパ節腫脹, 術後腸管吻合が原因となる
非腫瘍性小腸重積はやや稀な病態
リンパ節腫脹, Scleroderma, Cystic fibrosis, Celiac disease, Henoch-Schonlein purpura, Ilieal duplicaiton, 腹部外傷, 膵炎が原因となる.
AIDS関連の腸重積の報告が増えてきている
リンパ腫, Kaposi肉腫, リンパ腫大, CMV腸炎, カンピロ腸炎など
熱帯では, 腸重積の2/3が非腫瘍性 ⇒ 下痢, 腸炎由来が多い
クローン病由来の腸重積では一過性の場合が多い
臨床症状 Postgrad Med J 2005;81:174-77
腹痛が最も多く 71-90%
下血, 嘔吐は次に多い
腹部腫瘤は24-42%で認める
発症~診断までの平均期間は37.4D(1-365D)
悪性腫瘍由来, 大腸重積のほうが期間は短い傾向にある
CT所見の評価 AJR Am J Roentgenol 2001;176:1167-71
CT所見によるStage分類(Plane CT)
① 重積した腸管壁のLow density像 (Edema)
② 重積部位の内腔 Fluid貯留
③ 重積部位より口側のAir貯留 (Obstruction)
Stage 1; 上記①~③を認めない ⇒ 血流障害はほぼ無し
Stage 2; ①のみ認める ⇒ 腸管浮腫はあるが, 外科切除が必要なほど重症でもない
Stage 3; ①+②を認める ⇒ 虚血の可能性あり, 外科切除必要の可能性
Stage 4; ①~③全て認める ⇒ 腸管壊死の可能性
腫瘍性腸重積を示唆する所見として, 造影CTが有用
Neoplastic vs Non-neoplastic
長軸; 10.8cm vs 4cm
径; 4cm vs 3cm
腸閉塞(+) 50% vs 4.3%
径; 4cm vs 3cm
腸閉塞(+) 50% vs 4.3%
大きくて閉塞が強い物は腫瘍性の可能性が高いと言える
治療
小児と違い, 成人例で症状持続する場合は手術適応
器質的異常を伴うことが多く, 悪性腫瘍の可能性もあるため (特に大腸) 術前に高圧浣腸, Airでの整復は推奨されない
⇒ 術前の整復は切除域の縮小という利点はあるが感染, 穿孔, 腫瘍による静脈塞栓のRiskがある
⇒ 腫瘍性腸重積でないのならば整復を考慮して良い
成人例と小児例の違い Postgrad Med J 2005;81:174-77
|
小児
|
成人
|
全体で占める割合
|
95%
|
5%
|
腸管閉塞合併
|
多い
|
稀(<5%)
|
原因
|
90% 特発性
50%でPeyer板の腫大を認める |
70-90%で
原因が明らか |
臨床症状*
|
良く認められる
|
15-20%程度
|
治療
|
非外科治療が主
|
外科治療が主
|
1999-2008年にMaine Medical CenterのERを受診した, 腸重積例のRetrospective study.
American Journal of Emergency Medicine (2011) 29, 523–527
0-6yr(T), 6-18yr(N), >18yr(A)の3群に分類し, 比較.
95例の腸重積が診断. >>(T) 61例(64%),(N) 12例(13%),(A) 22(23%).
|
全体 |
0-6yr (64%) |
6-18yr (13%) |
>18yr (23%) |
年齢 |
|
1.7y[0.2-5.9] |
12.6y[8.8-17] |
48y[21-91] |
腹痛 |
79% |
74% |
92% |
86% |
中等度〜重度腹痛 |
71% |
72% |
83% |
59% |
嘔吐 |
62% |
61% |
91% |
52% |
血便 |
|
16% |
0% |
4% |
腹痛の80%が間欠性の腹痛.
下痢は25%で特に3群で有意差無し.
重積の部位
|
全体 |
0-6yr (64%) |
6-18yr (13%) |
>18yr (23%) |
Ileocolic |
72% |
93% |
50% |
27% |
Small bowel |
16% |
0 |
33% |
50% |
Large bowel |
12% |
7% |
17% |
23% |
重積の原因
|
全体 |
0-6yr (64%) |
6-18yr (13%) |
>18yr (23%) |
Adenitis |
16% |
20% |
8% |
5% |
Meckel憩室 |
8% |
8% |
26% |
0 |
Peutz-Jeghers polyp |
7% |
2% |
50% |
0 |
悪性腫瘍 |
8% |
0 |
8% |
32% |
非特異的炎症 |
48% |
68% |
8% |
13% |
その他 |
13% |
2% |
0 |
50% |