主にスクリーニングについて
アメリカでは皮膚癌に次いで2番目に多い癌(男性).
2007年度では165.8/100000の有病率, 23.5/100000の死亡率 平均診断年齢は67歳. 平均死亡年齢は81歳.
家族歴, 高齢者がRiskとなる. 第一親等に前立腺癌(+)ならばリスクは2倍となる.
前立腺癌の90%がスクリーニングにて発見される.
前立腺癌と診断されてもそれが死因となることは少ない.
2007年度では165.8/100000の有病率, 23.5/100000の死亡率 平均診断年齢は67歳. 平均死亡年齢は81歳.
家族歴, 高齢者がRiskとなる. 第一親等に前立腺癌(+)ならばリスクは2倍となる.
前立腺癌の90%がスクリーニングにて発見される.
前立腺癌と診断されてもそれが死因となることは少ない.
診断時に転移を認めるのは4%のみ.
診断後10年での癌による死亡率は高分化型癌で8%, 低分化型で26%
診断後10年での癌による死亡率は高分化型癌で8%, 低分化型で26%
前立腺癌受診時の症状
前立腺癌217例と年齢をMatchさせたControl群1080例を評価(UKの一般外来Population) British Journal of General Practice 2006; 56: 756–762.
前立腺癌217例と年齢をMatchさせたControl群1080例を評価(UKの一般外来Population) British Journal of General Practice 2006; 56: 756–762.
症状, 所見 |
前立腺癌 |
Control |
LR+ |
残尿 |
15.2% |
1.7% |
9.1[5.2-16] |
排尿困難 |
17.1% |
1.9% |
8.8[5.2-15] |
勃起不全 |
30.9% |
3.5% |
8.8[6.1-13] |
頻尿 |
47% |
7.1% |
6.6[5.1-8.5] |
夜間尿 |
29% |
4.5% |
6.4[4.5-9.0] |
血尿 |
15.2% |
5% |
3.0[2.0-4.6] |
初診時体重減少 |
9.7% |
4.4% |
2.2[1.3-3.6] |
フォローで体重減少 |
5% |
0.83% |
6.1[2.6-15] |
直腸診で良性の前立腺腫大(+) |
28.1% |
3.4% |
8.2[5.6-12] |
直腸診で悪性の前立腺腫大(+) |
18.9% |
0.5% |
41[16-100] |
PSA >4ng/mL |
60.8% |
2.1% |
29[19-43] |
PSA >2ng/mL |
61.3% |
3.2% |
19[13-27] |
殆どがBPHと同じ症状. 異なるのは体重減少と勃起不全くらいか.
これら症状は前立腺癌診断の200日前ほどから増加し始める.
前立腺癌のスクリーニング N Engl J Med 2011;365:2013-9
直腸診による前立腺触診とPSAが主.
直腸診で認められる前立腺癌は大半が進行しており, PSAによるスクリーニングが主流.
直腸診で認められる前立腺癌は大半が進行しており, PSAによるスクリーニングが主流.
PSA検査によりそれ以前と比較して前立腺癌の発見率は2倍.
PSA>4ng/mLをCutoffとするが, それ以下でもR/Oは不可能.
前立腺癌の15%がPSA≤4.0ng/mLであり, 9%がPSA≤1.0ng/mLとなる.
スクリーニングにより前立腺癌の発見率は上昇するものの, 死亡リスクが改善するかはStudyにより結論は様々. リスク改善があったとしてもNNS 1400程度.
前立腺生検による合併症のリスクもあり, スクリーニングの是非については未だ一定した見解は無し
PSA>4ng/mLをCutoffとするが, それ以下でもR/Oは不可能.
前立腺癌の15%がPSA≤4.0ng/mLであり, 9%がPSA≤1.0ng/mLとなる.
スクリーニングにより前立腺癌の発見率は上昇するものの, 死亡リスクが改善するかはStudyにより結論は様々. リスク改善があったとしてもNNS 1400程度.
前立腺生検による合併症のリスクもあり, スクリーニングの是非については未だ一定した見解は無し
55-74歳76 693名のスクリーニング(PLCO) NEJM 2009;360:1310-9
毎年PSA評価 + 直腸診を行う群とControl群で前立腺癌, 予後を比較.
PSA>=4.0ng/mLをCutoff
アウトカムは 前立腺癌発見率と死亡Case/10 000pt-yr
PSA>=4.0ng/mLをCutoff
アウトカムは 前立腺癌発見率と死亡Case/10 000pt-yr
Outcome
|
Screen
|
Control
|
RR
|
7yr前立腺癌発見
|
7.35%
|
6.05%
|
1.22[1.16-1.29]
|
10yr前立腺癌発見
|
9.00%
|
7.75%
|
1.17[1.11-1.22]
|
7yr前立腺癌由来死亡
|
2.0
|
1.7
|
1.13[0.75-1.70]
|
10yr前立腺癌由来死亡
|
2.7
|
2.4
|
1.11[0.83-1.50]
|
前立腺癌発見率は上昇するも, 死亡率に関してはもともとが低すぎて有意差を認めなかった.
ヨーロッパのスクリーニング(ERSPC)では, NEJM 2009;360:1320-8
50-74歳の182 000名を振り分け, 4年毎にPSAをCheck vs Controlで比較.
全体で16.2%がPSA高値, その内, 85%が前立腺生検した75.9%が陽性.
前立腺癌発見率は Screening群 vs Control; 8.24% vs 4.82%
8.8yrフォローにおいて, 前立腺癌による死亡は 0.26% vs 0.33%, RR 0.80[0.65-0.98]
Absolute difference 0.71/1000 と有意差(+)
Number Needed Screening 1410[1142-1721]
全体で16.2%がPSA高値, その内, 85%が前立腺生検した75.9%が陽性.
前立腺癌発見率は Screening群 vs Control; 8.24% vs 4.82%
8.8yrフォローにおいて, 前立腺癌による死亡は 0.26% vs 0.33%, RR 0.80[0.65-0.98]
Absolute difference 0.71/1000 と有意差(+)
Number Needed Screening 1410[1142-1721]
ERSPC trialの平均11年フォロー. N Engl J Med 2012;366:981-90.
前立腺癌の死亡率はスクリーニング群で21%低下. rate ratio 0.79[0.68-0.91].
前立腺癌による死亡者数は0.10/1000pt-yr低下する.
11年間における前立腺癌死亡をアウトカムとした場合, No. needed to Screenは1055名. 37例の前立腺癌を診断して, 1名死亡を防げる計算となる.
ちなみに全死亡率は有意差無し.
前立腺癌による死亡者数は0.10/1000pt-yr低下する.
11年間における前立腺癌死亡をアウトカムとした場合, No. needed to Screenは1055名. 37例の前立腺癌を診断して, 1名死亡を防げる計算となる.
ちなみに全死亡率は有意差無し.
PLCOとERSPCのまとめ JAMA. 2014;311(11):1143-1149.
60歳時のPSAの値と前立腺癌による死亡, 転移 BMJ 2010;341:c4521
60歳の男性1167名でPSA検査を施行し, 25年間フォロー. 85歳までの前立腺癌による死亡, 転移を評価
60歳時のPSAの平均値は1.06ng/mL[0.65-1.92]であり, 前立腺癌は126名. 前立腺癌による死亡は35名, 転移は43名で認められた.
前立腺癌診断, 転移判明, 死亡までの期間は,15.3, 15.7, 15.9yr
60歳時のPSA値と, 各OutcomeのOR
60歳時のPSAの平均値は1.06ng/mL[0.65-1.92]であり, 前立腺癌は126名. 前立腺癌による死亡は35名, 転移は43名で認められた.
前立腺癌診断, 転移判明, 死亡までの期間は,15.3, 15.7, 15.9yr
60歳時のPSA値と, 各OutcomeのOR
前立腺癌の診断 |
OR |
前立腺癌Meta |
前立腺癌死亡 |
<0.65 |
Reference
|
Reference
|
Reference
|
0.65-0.99 |
2.3[0.89-5.7]
|
||
1.00-1.99 |
2.5[1.1-5.9]
|
||
≥2.00 |
13[5.7-29]
|
17[5.2-57]
|
26[6.2-113]
|
前立腺癌のスクリーニングの推奨 N Engl J Med 2011;365:2013-9
Evidenceとしては, 有意に見つかる頻度が上昇するが, 予後への関連性は確立されていない, という認識がただしい.
予後が長いと考えられる患者においては行っても良いのかもしれない.
予後が長いと考えられる患者においては行っても良いのかもしれない.
前立腺癌の治療: 手術治療は必要かどうか
PIVOT trial; 1994年-2002年にLocalized Prostate Caと診断された731名のRCT. N Engl J Med 2012;367:203-13.
平均年齢67歳, PSAの中央値は 7.8ng/mL.
50%がStage T1c, 25%がGleason scale ≥7, 40%がLow, 34%がIntermediate, 21%がHigh-risk
切除術 vs 経過観察群に割り付け, フォロー.
手術群は主治医の判断にて追加治療を行い, 経過観察群は定期的なフォローと, 対症療法, 化学療法を施行.
平均年齢67歳, PSAの中央値は 7.8ng/mL.
50%がStage T1c, 25%がGleason scale ≥7, 40%がLow, 34%がIntermediate, 21%がHigh-risk
切除術 vs 経過観察群に割り付け, フォロー.
手術群は主治医の判断にて追加治療を行い, 経過観察群は定期的なフォローと, 対症療法, 化学療法を施行.
2010年時点での評価(平均観察期間10年間[8-15]).
Outcome |
切除群 |
観察群 |
HR |
全死亡率 |
47% |
49.9% |
0.88[0.71-1.08] |
生存期間 |
13.0y[12.2-13.7] |
12.4y[11.4-13.1] |
|
前立腺Ca由来死亡 |
5.8% |
8.4% |
0.63[0.36-1.09] |
骨転移 |
4.7% |
10.6% |
0.40[0.22-0.70] |
手術治療後30日以内のイベント
Subgroup解析:
PSA>10ng/mLでのみ死亡リスク低下効果が見込める
SPCG-4 trial: 1989-1999年に局所前立腺癌695例を経過観察群 vs 切除群に割り付け, 2012年までフォロー N Engl J Med 2014;370:932-42.
23.2年間フォローし, 予後を比較.
経過観察群では尿閉に対しては経尿道切除を施行.
骨シンチで転移を認めればホルモン療法を選択.
2003年以降は, ホルモン療法で増悪を認めればAndrogen-deprivation療法が許可された.
切除群にて再発を認めた場合, Androgen-deprivation療法を開始.
経過観察群では尿閉に対しては経尿道切除を施行.
骨シンチで転移を認めればホルモン療法を選択.
2003年以降は, ホルモン療法で増悪を認めればAndrogen-deprivation療法が許可された.
切除群にて再発を認めた場合, Androgen-deprivation療法を開始.
切除群の方が有意に前立腺癌由来の死亡リスクは低下する. NNTは8. ただし, <65歳の群のみ.
Androgen-deprivation療法はどの患者群でも死亡リスクを低下させる
Androgen-deprivation療法はどの患者群でも死亡リスクを低下させる