ARDSにおける非侵襲的呼吸器管理では, ヘルメット式のNIVは気管挿管リスクを低下させ, 患者側にとっても, 比較的許容しやすい処置である報告がある
COVID-19による呼吸不全に対して, HFNOとヘルメットNIVを比較した報告
(JAMA. 2021;325(17):1731-1743. doi:10.1001/jama.2021.4682)
HENIVOT: COVID-19で呼吸不全となった患者群を対象とし, HFNO vs BiPAPで比較したRCT.
・患者はCOVID-19で, 以下を満たす群 P/F ≤200, PaCO2 ≤45mmHg, 慢性呼吸不全の病歴(-), NYHA >IIまたはLVEF<50%の心不全(-), 腎不全の急性増悪
・上記患者群をHFNO群 vs ヘルメットを用いたNIV群に割り付け, 48h以上継続.
・HFNOは60L/分で設定し, 徐々に減量. FiO2はSpO2 92-98%を目標に調節. 48h以降, FiO2 ≤0.4且つRR ≤25でweaningを進める. O2 10L/min, FiO2は維持した状態で, SpO2 92-98%, RR<25が維持できれば離脱.
・NIVの設定: 目標SpO2 92-98%
・治療失敗 → 気管挿管, 人工呼吸器管理
・以下を満たす場合
増悪/改善しない耐えられない呼吸苦
5分以上持続する低酸素血症(SpO2 <90%)
改善しない呼吸筋疲労
コントロール不良の気管分泌物
動脈血pH<7.30
デバイスに耐えられない
・また, 血行動態不安定(sBP<90, MAP<65, 高用量の昇圧薬, 高Lac血症), 意識障害(GCS<12), 痙攣発作でも挿管適応と判断
母集団
アウトカム
・死亡リスクや, 呼吸器管理期間は同等
・気管挿管や, 侵襲的人工呼吸器使用は NIVで有意に低下.
・低酸素や呼吸苦は NIVで少ない.
・Discomfortは, 初日はNIV < HFNOだが , その後はNIV > HFNO
------------------------------
生命アウトカムには影響しないが, 気管挿管, 侵襲的人工呼吸器のリスクはヘルメットを用いたNIVで有意に低下する.
ヘルメット自体が置いてある施設は少ないと考えられるが... 今後呼吸器が枯渇した場合の一つの方法としては覚えておいてもいいのかもしれない.