GBSの前駆感染症ではCampylobacter jejuniによる腸炎や, 最近ではZikaウイルス, そしてCOVID-19後なども有名. ワクチン摂取後の発症もある.
免疫が惹起されて生じるため, それら以外の一般的な感染症もリスクとなることは重要.
(Neurology. 2021 Feb 9; 96(6): DOI: 10.1212/WNL.0000000000011342)
デンマークにおけるNational cohort:
1987-2016年に診断された初発のGBS症例全例と, 1:10でMatchさせたControl群において, 診断の60日以内の病院で診断された感染症(ER受診, または入院), 市中で処方された抗菌薬の頻度を比較した.
・さらに, Primary careにおいて, 感染症に関連した検査施行歴も評価.
・CRP測定やA群溶連菌抗原検査, 尿培養, 血液培養, マイコプラズマ肺炎検査, インフルエンザ, アデノウイルス検査など
・GBS症例は2414例, Control群は23909例を評価した.
アウトカム:
GBS OR | 病院 感染症歴 | 市中 抗菌薬処方 |
全体 | 13.7[10.2-18.5] | 3.5[3.0-4.1] |
小児群 | 14.7[6.4-34.1] | 3.2[1.7-5.9] |
成人群 | 13.6[9.9-18.7] | 3.5[3.0-4.1] |
<50歳 | 13.6[8.4-22.0] | 3.3[2.6-4.3] |
≥50歳 | 13.8[9.5-20.2] | 3.6[2.9-4.4] |
・市中感染症歴や抗菌薬処方歴は有意なGBSのリスク因子となる
・GBS症例の4.3%で60日以内の病院診断の感染症歴(vs 0.3%)
22.4%で市中における抗菌薬処方歴(vs 7.8%)がある.
・リスクは小児, 成人にかかわらず, 上昇
感染症のフォーカス
・下気道感染症, 消化管感染症, 上気道・耳感染症, 尿路感染症, 皮膚と様々な部位でリスクが上昇.
・敗血症もリスク因子.
感染後1ヶ月以内で最もリスクが高い.
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・以前, 市中感染症で入院した患者さんが, 入院中にGBSを発症した症例がありました.
GBSといえば, 「数日の経過で増悪する下肢の痺れや疼痛 → 上行性の脱力で救急受診」というIllness scriptが強かったため, 「院内発症のGBS」という鑑別がすっぽり抜けていたことが思い出されます.
一般市中感染症を診療する立場では, このような経過もIllness scriptとして押さえておくとよいかもしれません.