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2021年2月19日金曜日

COVID-19感染症に対する回復者血清の報告2つ

 INFANT-COVID-19: 発症早期(<72h)軽症COVID-19患者を対象とし, 回復者血清を投与したDB-RCT.

(N Engl J Med 2021;384:610-8.)

患者は75歳以上の高齢者, または65-74歳で1つ以上の併発症を有する群(HT, DM, 肥満, CKD, 心血管疾患, COPD)

・重症呼吸器症状がある患者は除外

・回復者血清はSARS-CoV-2に対するIgGが高い血清を選択.

 >1:1000 SARS-CoV2 spike proteinを含む血清250mL vs Placebo群に割り付け, 重症化のリスクを比較.

母集団

・SpO2は96%

アウトカム

重症化(Severe respiratory disease)は有意に血清投与群で低い結果.

 Severe respiratory disease: 呼吸数 ≥30/分, SpO2 <93%で定義

他は有意差を認めない

・Life-threatening respiratory diseaseはFiO2 1.0, 人工呼吸器使用, ICU管理で定義

・Critical systemic illnessはP/F ≤200, Shock, MOFで定義


PlasmAr: 重症COVID-19感染症にて入院となった成人患者を対象としたDB-RCT.

(N Engl J Med 2021;384:619-29.)

・COVID-19PCRで陽性例または画像所見が典型的な例で定義

・重症の定義は以下: SpO2 <93%, P/F <300, SOFAまたはmSOFAが基礎値から2以上上昇のいずれかを満たす患者で定義.

授乳婦や妊婦, 妊娠可能女性で, 30日間の避妊薬の使用を拒否した患者, 血液製剤のアレルギー歴がある患者, SARS-CoV-2以外の病原体による肺炎, 多臓器不全などは除外.

上記を満たす患者群を回復者血清投与群 vs Placeboに割り付け, 30日予後を比較.

 抗ウイルス薬やGCの使用は許可された

・回復者血清はSARS-CoV-2抗体価が≥1:400のものが採用され, 1-5人分の血清を使用し, 抗体価が>1:800となる様に調節.

母集団. N=333

・65歳以下が半数以上を占める

・SpO2<93%を満たす症例がほぼ全例SOFAスコア2点以上の上昇は15%程度

・発症~導入までの中央値は8日間

・大半が鼻カニューラからの酸素投与

 Nasal high-flow5%のみ呼吸器管理例は無し

アウトカム


・死亡リスク, 呼吸器管理リスクに有意差なし

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この2つの報告からは,

早期の軽症例ではその後の呼吸状態増悪リスクを軽減させる可能性があるが,

発症1週間程度経過した重症例では回復者血清による予後改善効果は得られない結果