炎症性腸疾患(IBD)と脊椎関節炎(SpA)はしばしば合併する.
日本国内のIBD 137例の解析では46例(33.6%)でSpAの症状が認められた
・32/46が男性例, UCが24/88, CDが22/49 (Mod Rheumatol, 2015; 25(3): 435–437)
IBDにおけるSpA合併を評価する6項目の質問: DETAIL questionというものがある.
1.原因がよくわからない指やつま先, 他の関節の腫脹や疼痛があったか?
2.ソーセージのように, 指や足指全体が腫脹したことがあるか?
3.踵に痛みが生じたことがあるか?
4.外傷に関連しない, 3ヶ月以上持続する背部痛があったか?
5.朝や安静時に認め, 動くと改善する腰痛があるか?
6.腰痛で夜間目が覚めることがあったか?
(J Rheumatol. 2021 Feb;48(2):179-187.)
418例のIBD患者を対象とし, DETAIL questionを評価. その後2週間以内に, 結果をBlindされたリウマチ膠原病医によりSpAの可能性を評価され, DETAIL questionの有用性を評価した報告.
・専門医により, 102例(24.4%)がSpAと診断.
軸関節型が57%, 末梢関節単独型が43%
DETAIL questionのSpA合併に対する感度/特異度
Q | 感度(%) | 特異度(%) | LR+ | LR- |
関節腫脹, 疼痛 | 69.6[59.7-78.3] | 67.7[62.2-72.8] | 2.16[1.78-2.65] | 0.45[0.33-0.61] |
ソーセージ指 | 27.4[19-37.1] | 89.2[85.2-92.4] | 2.55[1.63-3.99] | 0.81[0.72-092] |
踵の痛み | 45.1[35.2-55.2] | 86.3[82.1-89.9] | 3.31[2.33-4.71] | 0.64[0.53-0.76] |
3ヶ月以上背部痛 | 77.4[68.1-85.1] | 73.4[68.1-78.2] | 2.91[2.36-3.60] | 0.31[0.21-0.44] |
朝や安静時の腰痛 | 82.3[73.5-89.1] | 67.7[62.2-72.8] | 2.55[2.12-3.06] | 0.26[0.17-0.40] |
腰痛で夜起きる | 54.9[44.7-64.7] | 85.4[81.6-89.1] | 3.77[2.74-5.19] | 0.53[0.42-0.66] |
特異度が高いのは踵痛と夜間の腰痛
感度が高いのは慢性背部痛と朝・安静時の腰痛
3つ以上満たせば, 検査後確率は80%以上でSpAを合併する