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2021年1月19日火曜日

COVID-19の後遺症を評価したコホート

 今は感染拡大を抑制すること, 患者の急性期治療が重要ですが,

これからは後遺症の問題もでてくる時期でしょう.

(Lancet 2021; 397: 220–32)

中国武漢におけるCohort study.

・COVIT-19で入院管理となり, 退院した患者を半年間フォロー

 倦怠感や脱力感, 身体機能, 呼吸機能, 画像所見など評価した報告.

・精神疾患や認知症で聴取が困難な患者, 再入院, 骨関節疾患で自由に行動ができない患者, 入退院前後に寝たきりになっている患者(脳梗塞やPEなどで), 死亡患者, コンタクトがとれない患者は除外.

母集団のデータ

・酸素投与不要 25%, 酸素投与必要 68%, 人工呼吸器必要 7%

背景にCOPDがあるのは2%のみ

・また, 9割が非喫煙者

>> つまり, 特に呼吸器疾患はない患者群で, 退院時にADL自立していた群のフォローという感じ

フォローアップ期間は186


アウトカム


・半年後に倦怠感や脱力は6割で認められ睡眠障害が26%, 嗅覚障害が11%, 関節痛, 食欲低下, 味覚障害が10%弱で認められる.

・呼吸器管理が必要な症例ほど, 倦怠感, 脱力は多いが, 酸素投与が不要な症例でもそれらは6割で認められる.

・6分間歩行距離も予測から9割弱に低下.


呼吸機能検査とCT検査


・軽症でも重症でも, FEV1の低下, TLCの低下が認められる.

特に重症ではTLCFRC, RV, DLCOの低下リスクが高い.

・CT所見もGGOは高頻度で残存. 線維化所見も残存する

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背景に呼吸器疾患や喫煙がない患者群で, 退院時にADLが自立していても, 

高頻度に倦怠感や筋力低下は持続し, 一部では肺の線維化, GGO, 呼吸機能障害が残存する.

酸素投与が必要ない患者でも症状は認められる

今後数年はそのような患者が内科外来を受診することが増加するのだろうか.