細菌感染症後の糸球体腎炎といえば, A群溶連菌が有名
以前スライドをアップしている: 溶連菌感染後糸球体腎炎
A群溶連菌感染以外にもPIGNを来す感染症はある.
・多いのはStaphlococcusの報告例が多く, 稀だが, Psudomonas, Pneumococcus, Enterococcus, Propionibacterium acnes, Candida等で報告例あり.
・潜伏期間はPSPNと同様, 2-4wkが最多だが, 数ヶ月経過しての発症もある
(Adv Anat Pathol 2012;19:338–347)
(Am J Kidney Dis. 65(6):826-832. 2015)
感染後糸球体腎炎(PIGN)でGAS以外に抑えておくべきなのはブドウ球菌(Staphylococcus)
近年さらに報告例が増加してきている.
(Medicine 95(15):e3386)
・ブドウ球菌後の糸球体腎炎では, 主にIgA沈着を伴うメサンギウム細胞, 血管内皮細胞の増生が特徴的. 他に毛細血管外の病変や他の補体や免疫グロブリン沈着の合併もあってもよい.
・間質の炎症を伴うことも多い
Staphylococcus感染後糸球体腎炎の症例報告 31論文より83例の患者群を抽出し, 評価.
・症例報告は主に台湾, 日本, 米国からが多い.
最初に報告したのは日本から: 約半数がアジア人の報告(MRSA感染後のGN. Kidney Int. 1995;47:207–216.).
・患者の平均年齢は58±17歳, 男性例が64/83と多い.
・蛋白尿, 血尿はほぼ全例(9割以上)で認められ, 尿中蛋白は3.85±3.44g/日 [0.15-15g]
・Cr値は2.29±2.16mg/dL, ピークでは5.67±3.23mg/dL
・補体低下は54%
組織所見
・血管内皮, メサンギウムの増生, びまん性の増生パターンが多い.
・半月形成も1/3で認められる.
・IgA沈着が9割で陽性となる
他にはIgG, C3の頻度が高い
・沈着部位はメサンギウム細胞, 上皮下.
予後不良因子
関連があるのは高齢者.
有意差はないが, 関連がありそうな因子に糖尿病.