Medicine 2014;93: 1-10
MDSでは様々な自己免疫疾患を合併する可能性がある.何故自己免疫疾患が増加するかは未だ解明されていない.
RAや未分類関節炎, PMR, RS3PEの合併例が過去に報告されている.
MDSの診断基準を満たし, さらに以下を満たす22名の患者群を解析したRetrospective review.
>6wk持続する>2の圧痛関節 and/or 腫脹関節
関節以外の症状無し
MDSと関節炎の診断は5年以内に行われる.
結晶性関節炎, 化膿性関節炎は除外.
上記を満たす患者22名の解析
平均年齢77.5歳[69-81], 12名が男性例, 女性は10例であった.
MDSのタイプは RA(1), RARS(1), RAEB1(5), RAEB2(3), RCMD(8), 5q短腕欠損(2), CMML(1), MDS-U(1)
関節炎のタイプは,
多関節炎 17例(77%), 左右対称性15例(68%), 単一の肩関節痛でPMRに典型的なのが4例, RS3PEに典型的な例が4例であった.
RF陽性例が5例, その内ACPA陽性が2/5, XPで骨融解(+)が1例. RA診断Criteriaを満たすのが8例であった.
関節炎診断〜MDS診断までの期間は平均10ヶ月[6-42].
関節炎の期間は平均3ヶ月[2-8]
関節炎とMDSを同時に診断したのは27%,
関節炎が先行したのは55%, MDSが先行したのが18%であった.
Literature Reviewでは, MDS + 関節炎の68例を解析
RA, 未分類関節炎例が42例, RS3PEが8例, PMRが18例報告されている.
関節炎〜MDS診断までの期間はほとんどが1年以内だが, 5年以上経過して合併する例も少なからずある.
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MDSは高齢者では多い疾患なので, MDSと炎症性関節炎に本当に関連性があるのか, それともただ偶然合併したのか分かりません。
PMRもRS3PEも少ない疾患なのでやはり関連性があると考えるべきなのかもしれません.
またMDSと関節炎合併例では男女比がほぼ等しいのも興味深い所です.
高齢の男性例のRAやPMRでは(元々RS3PEは男性に多い)MDS合併の可能性を考えるべきとも考えられる。
また、PMRの患者さんで良く貧血が合併しており, いままでは 『慢性炎症による貧血かなぁ』と安易に考えていましたが、これも注意すべきかもしれませんね。