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2022年1月27日木曜日

トファシチニブの心血管イベント, 悪性腫瘍などのリスク: ORAL surveillance

 (N Engl J Med 2022;386:316-26.)

ORAL Surveillance: 50歳以上のRA患者で,
 MTXでも活動性が抑えられなく, 1項目以上の心血管イベントリスク因子*を有する患者を対象とし, Tofacitinib vs 抗TNF阻害薬を比較したOpen-label, 非劣性RCT.

*リスク因子は表の通り:

喫煙

高血圧

HDL-Chol<40mg/dL

糖尿病

若年での冠動脈疾患の家族歴

関節外のRA症状

冠動脈疾患既往

・除外項目: 担癌患者(既往含む, 適切に治療されたnon-melanoma skin cancerは除外)


・上記を満たす患者群を, 

 Tofa 5mg bid vs 10mg bid vs TNF阻害薬(ADA 40mg/2wk or ETN 50mg/wk)に割り付け, 

 MACE, 悪性腫瘍リスク, 感染症リスクなどを比較.

・MTXは継続.

・2014年3月に導入開始され, 2019年2月にTOF 10mg bid群でTNF阻害薬と比較して肺血栓塞栓症の頻度が高く, 死亡リスクも上昇したため, 以後は5mg bidに統一されている.


母集団: 6559例がスクリーニング, 4362例が導入


アウトカム(中央フォロー期間4年間): MACE


・MACE発症率は3.4% vs 2.5%と, TofaはTNF阻害薬と比較して
非劣性を示せず.

・5.5年間では,
 MACEは5.8% vs 4.3%
, 非致死性MIは
 2.2% vs 0.7%

・Sub解析では
65歳以上の高齢者で
特にMACEが多い.

・MACE: 心血管死亡,
 MI, Stroke


悪性腫瘍リスク: Tofa 5mg, 10mg bid群で有意にリスクが上昇


・4年間の発症頻度は 4.2% vs 2.9%

・5.5年間では, 6.1% vs 3.8%

・最も多かった悪性腫瘍はTofa群で肺癌, TNF阻害薬群では乳癌.


他のアウトカム


・重大な感染症はTofa 10mg bidで上昇: HR 1.48[1.17-1.87]


 日和見感染症はTofa 5mgで1.82[1.07-3.09], 10mgで2.17[1.29-3.66]

 帯状疱疹はTofa 5mgで3.28[2.44-4.41], 10mgで3.39[2.52-4.55]

・他に肝障害リスクの上昇,
肺血栓塞栓症リスクの上昇が認められる.
 

 PEは特に10mg bidで特にリスクが高い.


SDAIスコアの変化. 
どの群も同等の効果が期待できる