ER診療において, 敗血症, 感染症を疑えばなるべく早期(できれば1時間以内)に抗菌薬を開始することは予後改善に関連するという報告は多い.
今回Chestより, 投与までの時間と敗血症性ショック移行リスクを評価した報告が発表されたので紹介する
(Chest. 2022 Jan;161(1):112-120. doi: 10.1016/j.chest.2021.06.029.)
Kansas univ. Hosp.のEDにおいて, 2007-2020年に診療した 感染症疑い患者で, 24h以内に抗菌薬が投与された全患者を後ろ向きに解析.
・感染症の疑いは, EDにおいて培養検査が行われた患者, 4h以内に抗菌薬が開始された患者で定義.
・EDにおいてすでに敗血症性ショック(3時間以内に昇圧薬が開始された患者で定義)であった患者は除外.
また抗菌薬投与までの時間が不明な患者, 入院後24h以上抗菌薬が使用されなかった患者も除外.
・抗菌薬投与されるまでの時間と, 敗血症性ショックへの移行リスク(来院後3時間以降)の関連を評価した.
対象患者は74114例. このうち5510例(7.4%)が敗血症性ショックに移行.
・感染FocusはUTIが34%, 呼吸器が37.9%, 蜂窩織炎が18.6%, 腹腔内が9.3%