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2021年7月12日月曜日

中年〜高齢発症の自己炎症性疾患: VEXAS症候群

VEXAS症候群

(N Engl J Med 2020;383:2628-38.)

・X染色体上に存在するUBA1遺伝子の変異による
成人発症の自己炎症性疾患.

・ユビキチン化を開始する主要なE1酵素である, 
UBA1のメチオニン-41が影響される

・VEXAS: vacuoles, E1 enzyme, X-linked, autoinflammatory, somatic.

・中年〜高齢発症の, 

 治療抵抗性の発熱, 

 血球減少(骨髄, 赤芽球系の前駆細胞に空包変性を伴う), 骨髄異形成, 

 好中球の皮膚, 肺浸潤, 

 軟骨炎, 血管炎などを呈する.

 
>> RP, Sweet症候群, PAN, GCAといった自己免疫性疾患や, MDS, MMといった血液疾患として発症する.

・UBA1モザイク変異は造血幹細胞や多能性前駆細胞, 顆粒球・単球前駆細胞, 巨核球・赤芽球前駆細胞, リンパ系前駆細胞に多く認められるが, 末梢血では骨髄系細胞にのみ残存し, 
成熟リンパ節に変異は認められない. 

 変異リンパ球が増殖しなかったか, 除去された可能性が示唆される

 線維芽細胞にも認められないことが確認されている


VEXAS syndrome 25例 (N Engl J Med 2020;383:2628-38.)

・X染色体上の遺伝子変異であり, 男性が100%

・発症年齢は64歳[45-80]

・症状は発熱, 皮疹, 肺病変, 
耳・鼻の軟骨炎
静脈血栓症.

・血液障害では大球性貧血, 
骨髄細胞の空胞変性の頻度が高い

・疾患としては,
 RP, Sweet症候群, MDS, MM/MGUS,
 PAN, GCAの基準を満たす患者が多い


VEXAS syndromeと診断された12例

(J Allergy Clin Immunol. 2021 May 25;S0091-6749(21)00819-8.)

・発症年齢 67歳[47-79]

・症状, 臓器障害は 発熱 100%, 

 皮膚症状 10/12, 
肺病変 8/12, リンパ節腫大 7/12, 

 心臓・血管 6/12, 軟骨炎 6/12, 


 関節 4/12, 神経 4/12, 泌尿生殖器 4/12, 


 消化管 3/12, 眼 3/12, 
腎臓 2/12

・発熱+大球性貧血を認める例が大半

・骨髄所見は大半が異形性, 空包変性を認めるが, MDSの基準を満たすのは4例
血球貪食の所見は2例で認められた


横浜市立大学からの報告.

(Ann Rheum Dis. 2021 Mar 31;annrheumdis-2021-220089. doi: 10.1136/annrheumdis-2021-220089.)

・RP 13例(男性11例, 女性2例)の末梢血, 骨髄組織由来のゲノムDNAを用いてUBA1遺伝子変異を評価した報告

・男性例11例中, 8例でUBA1遺伝子変異を認めた.


 UBA1遺伝子変異例では, MDS, 血管炎, 皮疹, 発熱などを伴い,
骨髄所見では空包変性が認められる例が多い

・また, 女性例1例の血液で低頻度のUBA1遺伝子の体細胞遺伝子変異が検出された


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新しく発見された中年〜高齢発症の自己炎症性疾患.

中高年男性, 血球減少(特に大球性貧血), 
自己免疫を疑わせる兆候ではVEXASを考慮.