疾患例: 30歳女性. てんかん既往があり, 3週間前に抗てんかん薬をラモトリギンに変更した病歴がある.
4日前からの発熱, 体幹の皮疹が出現. 徐々に増悪したために来院.
来院時, 全身の癒合傾向のある紅斑, 掻痒+.
関節痛はなし。口内炎+, 眼球結膜充血などなし.
血液検査では, 軽度の肝障害と, 中等度の血小板減少, 白血球減少, LDHの上昇を認めた.
さらにフェリチン, TGの上昇を伴い, 血球貪食症候群が疑われた.
(症例は架空です)
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タイミング的にはラモトリギンによるDIHSとHLHの合併っぽい.
DIHSでは血球減少を伴うことは多くはないが, ありえる, 程度の認識であった.
この症例のようにHLHの合併というのはどの程度報告があるのか?
また原因薬剤はどのようなものが多いのか?
Literature Reviewにおいて, DIHSとHLHを合併した報告は23例
(Int J Dermatol. 2020 Sep 21. doi: 10.1111/ijd.15196.)
・原因薬剤として,
抗菌薬 (Amoxicillin 2例, Ceftriaxone, Doxycycline, Cefpodoxime, Penicillin, VCM, teicoplanin, ST合剤)
Sulfasalazine 5例 , Allopurinol, Tocilizumab, 鎮咳薬, Phenobarbital 2例
抗てんかん薬 (Lamotrigine 3例, Phenytoin, バルプロ酸)
・複数報告がある薬剤はAmoxicillin, Lamotrigine, Sulfasalazine, Phenobarbitalがある.
Lamotrigine自体, 薬剤性HLHの原因として報告例がある
(Neurology. 2019 May 21;92(21):e2401-e2405.)参考: ラモトリギンはDIHSの原因薬剤として4番目に多い
薬剤名 | N | % | 薬剤名 | N | % |
カルバマゼピン | 746 | 33.9399454049136 | スルファメトキサゾール/トリメトプリム | 39 | 1.77434030937216 |
アロプリノール | 332 | 15.1046405823476 | フェニトインナトリウム | 37 | 1.68334849863512 |
フェニトイン | 173 | 7.87079162875341 | ミノサイクリン塩酸塩 | 37 | 1.68334849863512 |
ラモトリギン | 149 | 6.77888989990901 | クロルプロマジン/ブロメタジン配合役 | 32 | 1.45586897179254 |
ゾニサミド | 133 | 6.05095541401274 | ジアゼパム | 30 | 1.36487716105551 |
フェノバルビタール | 132 | 6.00545950864422 | ミダゾラム | 30 | 1.36487716105551 |
メキシレチン塩酸塩 | 130 | 5.91446769790719 | フロセミド | 29 | 1.31938125568699 |
サラゾスルファピリジン | 126 | 5.73248407643312 | ロキソプロフェンナトリウム | 28 | 1.27388535031847 |
バルプロ酸ナトリウム | 115 | 5.23202911737944 | アスピリン | 25 | 1.13739763421292 |
アセトアミノフェン | 42 | 1.91082802547771 | ファモチジン | 25 | 1.13739763421292 |
医薬品副作用データベースより, DIHS 2198例の原因薬剤 (薬剤疫学 2014;19(1):31-37)
参考: DIHS + HLHの診療チャート
(Int J Dermatol. 2020 Sep 21. doi: 10.1111/ijd.15196.)