脱毛症 Alopecia
Alopecia areata: 円形脱毛症
Alopecia ophiasis: 蛇行状脱毛症
Alopecia totalis: 頭蓋脱毛症
Alopecia universalis: 全身性脱毛症
Alopecia areata(AA)は比較的頻度の高い, 炎症性, 非瘢痕性の脱毛性疾患.
・T細胞が関連した免疫反応で, 毛胞や爪がターゲットとなる
(Int J Dermatol. 2018 Dec;57(12):1464-1470.)・一般人口の2%で認められる.
・AAのSubtypeに, Alopecia totalis(AT), ohiasis(AO), universalis(AS)といったものがある.
AA: 円形の脱毛症 2.13%[1.83-2.46]
AT: 頭蓋全体の脱毛症 0.08%[0.04-0.13]
AO: 蛇行状に脱毛したもの 0.001%[0.001-0.057]
AU: 全身性の脱毛症 0.03%[0.01-0.06]
・頻度は人種でも異なる.
人種では, South American(8.7%), African(7.1%)で多く, 次いでNorth American(2.5%), Asian(1.5%), 最も少ないのはEuropean(0.6%). [頻度はAAの頻度]
・自己免疫疾患患者では特に頻度は高い
自己免疫性疾患(-)群ではAA 1.8%[1.5-2.2%], AT 0.07%[0.03-0.12], AU 0.03%[0.01-0.06]
SLE患者では7.4%[2.3-15.3]
白斑症では2.8%[1.9-3.9]
乾癬では3.3%[0.9-7.2]
(J Am Acad Dermatol. 2020 Mar;82(3):675-682.)
AA, AT, AU症例 1641例のReview
(Skin Appendage Disord. 2021 Jan;7(1):8-12.)
・AAが84.8%, ATが4.9%, AUが10.2%
男性は46.6%,
平均年齢はAA 29.9±14.5歳, AT 29.5±16.2歳, AU 32.8±14.5歳
・それぞれの年齢分布: 大体同じような分布となる
・発症に季節性はとくにない
スペインにおけるAT/AU 132例のReview
(J Eur Acad Dermatol Venereol. 2017 Mar;31(3):550-556.)
・AUが80例, ATが39例.
・AAの家族歴は12%で陽性
・AAからAT/AUへ進行する期間の中央値は1年間[0-32]
91%が4年以内に進行を認めた.
・自己免疫性疾患の合併は23%(31例)
甲状腺疾患が20%(26)と最も多く, 次いで白斑症(4例), I型糖尿病(3例), 乾癬が4例.
他の合併症はアトピー性皮膚炎(20%)
他の症例Reviewから,
(J Eur Acad Dermatol Venereol. 2017 Mar;31(3):550-556.)
・AAの家族歴陽性例は6.6-24.4%
・爪の異常所見は7.3-29.4%で認められる.
・自己免疫疾患の合併は12.9-38.4% 甲状腺疾患は0-25.1% アトピー性皮膚炎は5.2-49.2%
Alopeciaと悪性腫瘍の関連はあるのか?
(Sci Rep. 2018 Jun 27;8(1):9748. doi: 10.1038/s41598-018-28142-1.)
・2007-2014年に診断, 治療を行なったAlopecia 668604例と年齢, 性別を合わせたControl群において, 悪性腫瘍リスクを比較.
・AAが608190例, 平均年齢は40.16±12.74歳, 男性50.78%
AT/AUが60414例, 平均年齢は41.29±13.86歳, 男性52.46%
平均フォロー期間は4.92±2.32年
・悪性腫瘍リスクは, AA群でHR 1.04[1.02-1.07], AT/AU群でHR 1.07[1.01-1.1]と軽度上昇
各論では, 甲状腺癌がAA群 HR 1.17[1.12-1.21], AT/AU群 HR 1.33[1.21-1.47]
前立腺癌がAA群 HR 1.26[1.14-1.39], 膀胱癌がAA群 HR 1.22[1.06-1.40]と上昇.