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2020年8月25日火曜日

副腎腫瘍における悪性腫瘍の予測: 前向きStudy

 副腎腫瘍については以下も参照

副腎腫瘍の画像診断


CT画像のポイントは腫瘍径とCT値でスクリーニングし, 怪しければ造影CTやMRIと繋げる.
今回副腎腫瘍の評価について, 2000例規模の前向きStudyが発表されたので紹介.
この分野でこのNはなかなか無いので貴重なデータです.

(Lancet Diabetes Endocrinol  2020; 8: 773–81)
副腎腫瘍を新規に診断された成人症例2169例を前向きにフォローし, 腫瘍径, CT, 尿中ステロイド代謝産物と悪性腫瘍の関連を評価.
・生化学検査にて褐色細胞腫と判断された症例, 妊婦, 授乳婦, 6ヶ月未満にステロイド分泌に影響を及ぼす薬剤を使用した患者, 担癌患者における, ステージングの評価, モニタリングとして撮影したCTで副腎腫瘍が認められた患者は除外

・腫瘍径は<4cm, ≥4cmをカットオフ
CT値は単純CT<10HU, 10-20HU, >20HUをカットオフとして評価
 さらに, MRI chemical shift analysis(out-of-phase imageでのロスなし), PET/CT(肝臓よりも取り込みが強い), フォロー画像(6ヶ月で20%以上の増大)も評価.
尿中ステロイド代謝産物は15種類の物質を評価し, アルゴリズムに従って分析.(J Clin Endocrinol Metab 2011; 96: 3775–84.)を参照

98(4.9%)が最終的に副腎皮質悪性腫瘍(ACC)と診断.

各群のデータ

画像所見と悪性腫瘍
・副腎皮質悪性腫瘍の96/98≥4cmとなる.
・CT値のカットオフは10HU20HUで変わらない
 良性疾患では10-20HU1割ほどあるため悪性腫瘍を評価するならば20HUをカットオフとした方が良いかもしれない

副腎皮質悪性腫瘍に対するLR:

・腫瘍径 ≥4cm LR(+) 4.8[4.4-5.3], LR(-) 0.03[0.01-0.10]
・CT >20HU LR(+) 4.8[4.4-5.3], LR(-) 0.01[0.00-0.09]
上記2項目 LR(+) 12.2[10.5-14.3], LR(-) 0.03[0.01-0.10]

評価は3 Stepで行い,
腫瘍径, 
・CT
・上記で否定できなければ尿中ホルモン代謝産物試験