(N Engl J Med 2020;383:630-9.)
慢性の下肢浮腫は繰り返す蜂窩織炎のリスク因子となり, 圧迫療法による蜂窩織炎の予防が推奨されている
圧迫療法の蜂窩織炎予防効果を評価したopen-label RCT
・患者は3ヶ月以上の慢性下肢浮腫を認め, 過去2年以内に2回以上の蜂窩織炎の既往のある成人患者を対象.
・すでに圧迫療法を施行されている患者*, 終末期の患者, 不安定な患者, 慢性経過の創傷がある患者, 圧迫療法が困難な患者は除外.
*23-32mmHg圧のストッキング使用例は除外. 18-21mmHgではリンパ浮腫治療者がそれで十分, と判断されている症例のみ除外.
上記を満たす群を, 圧迫療法+教育 vs 教育のみに割り付け, 6ヶ月~3年間フォロー. 蜂窩織炎が45件発生した時点でStudyは終了とした.
・蜂窩織炎予防の教育内容はスキンケア, 白癬予防, 適正体重の維持, 運動習慣の励行を行う.
・圧迫療法は衣類による圧迫(ストッキング)を日中に使用
ストッキングを履けない場合は3-5日間の包帯による圧迫後にストッキングを使用する
最も多く使用されたのは膝上までのストッキング.
母集団
・BMIが41±9.9とすごい肥満が多い母集団. 日本人でこれを満たすのはなかなかいない.・浮腫の原因は肥満が半数以上. 他には外傷や静脈不全が多い
アウトカム
・蜂窩織炎の再発は圧迫療法群で有意に低下: RR 0.37[0.16-0.84], NNT 4とかなり優秀.
・入院リスクは有意差無し
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慢性浮腫がある患者での繰り返す蜂窩織炎というのは比較的多く経験する疾患の一つ.
圧迫療法により再発リスクは軽減され, 可能ならば試すのも良いと考えられる.