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2020年8月18日火曜日

外傷患者における "Permissive hypotension"

 外傷による出血性ショックでは, 止血と輸液・輸血が重要となるが, その際血圧を上げすぎると出血が増加するため, 臓器灌流を保ちつつ, 且つ血圧は上げない, という管理が理想となる.

この際従来のsBP>90mmHg, MAP≥65mmHgという目標よりも低い血圧を維持することが予後を改善させる可能性が動物実験でも示されており, これを Permissive hypotensionと呼ぶ.


Permissive hypotension vs 通常の治療で比較した5 RCTsMeta-analysis.

(J Trauma Acute Care Surg. 2018 May;84(5):802-808.)

・Permissive hypotensionsBP 50-70, またはMAP ≥50で管理

・通常の治療群ではsBP 60-100, またはMAP  ≥65で管理

5 RCTsの概要

穿通性外傷のみが2 trials, 他は鈍的外傷も含まれる

アウトカム

全体でみると, Permissive hypotension群では有意に30日死亡リスクの低下が認められる: OR 0.70[0.53-0.92]

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外傷からは離れているため, お恥ずかしい話, この概念が広まっていること自体知りませんでした.

これは消化管出血ですぐに止血が困難な状況でも利用できそうな概念です.(実際, こんなイメージで管理することも多い)