薬剤性パーキンソン症候群: drug induced Parkinsonism(DIP)
超高齢の患者が四肢を捻るような動きが出現したとのことで受診
四肢の不随意な捻る様な運動.
メトクロプラミドでも使っているかと思いきや, 使用はしていない.
抗精神病薬もないが, 抗うつ薬は長期間使用していた.
さらに徐々に腎機能も増悪してきているとのことで,
おそらくは抗うつ薬によるTardive dyskinesiaであろうと思われた.
抗うつ薬にはどの様な運動障害があるのだろうか、ちょうど論文がでていたのでチェック.
(Published: というので, 昨日!)
(BMC Psychiatry (2020) 20:308)
WHOの薬剤副作用調査データベースであるVigiBase®より, 抗うつ薬に起因する運動障害リスクを評価した報告
運動障害 | ROR |
アカシジア | 3.79[3.61-3.98] |
夜間の歯軋り | 10.37[9.62-11.17] |
ジストニア | 2.07[2.01-2.14] |
ミオクローヌス | 4.79[4.55-5.05] |
パーキンソニズム | 2.14[2.07-2.22] |
Restless legs syndrome | 5.14[4.90-5.38] |
Tardive dyskinesia(遅発性ジスキネジア) | 1.55[1.49-1.61] |
Tics | 1.49[1.38-1.60] |
振戦 | 3.06[3.02-3.10] |
・一通りの不随意運動のリスクはやはり上昇する.
参考: 薬剤別
・薬剤によって差はある
今回の被疑薬はデュロキセチン(サインバルタ®)であったが,
このレポートからはTardive dyskinesiaのリスクは上昇しない.
ただし, デュロキセチンによるTardive dystoniaのケース報告もいくつかあり, やはり原因として考えたいところ.
(Agri. 2018 Oct;30(4):199-201.)(Gen Hosp Psychiatry. 2010 Nov-Dec;32(6):646.e9-646.e11.)
(J Clin Psychopharmacol. 2012 Oct;32(5):723-4.)