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2020年6月17日水曜日

抗うつ薬による運動障害

参考:

薬剤性パーキンソン症候群: drug induced Parkinsonism(DIP)


超高齢の患者が四肢を捻るような動きが出現したとのことで受診
四肢の不随意な捻る様な運動.

メトクロプラミドでも使っているかと思いきや, 使用はしていない.
抗精神病薬もないが, 抗うつ薬は長期間使用していた.

さらに徐々に腎機能も増悪してきているとのことで,
おそらくは抗うつ薬によるTardive dyskinesiaであろうと思われた.



抗うつ薬にはどの様な運動障害があるのだろうか、ちょうど論文がでていたのでチェック.
(Published: というので, 昨日!)

(BMC Psychiatry (2020) 20:308)
WHOの薬剤副作用調査データベースであるVigiBase®より抗うつ薬に起因する運動障害リスクを評価した報告
運動障害ROR
アカシジア3.79[3.61-3.98]
夜間の歯軋り10.37[9.62-11.17]
ジストニア2.07[2.01-2.14]
ミオクローヌス4.79[4.55-5.05]
パーキンソニズム2.14[2.07-2.22]
Restless legs syndrome5.14[4.90-5.38]
Tardive dyskinesia(遅発性ジスキネジア)1.55[1.49-1.61]
Tics1.49[1.38-1.60]
振戦3.06[3.02-3.10]
・特に多いのは夜間の歯軋り, ミオクローヌス, RLS
・一通りの不随意運動のリスクはやはり上昇する.

参考: 薬剤別

・薬剤によって差はある

今回の被疑薬はデュロキセチン(サインバルタ®)であったが,
このレポートからはTardive dyskinesiaのリスクは上昇しない.

ただし, デュロキセチンによるTardive dystoniaのケース報告もいくつかあり, やはり原因として考えたいところ.
(Agri. 2018 Oct;30(4):199-201.)(Gen Hosp Psychiatry. 2010 Nov-Dec;32(6):646.e9-646.e11.)
(J Clin Psychopharmacol. 2012 Oct;32(5):723-4.)