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2020年6月19日金曜日

重症消化管出血に対するトラネキサム酸: HALT-IT

内科医必読.
個人的に注目していたHALT-ITの結果が発表されました.

(Lancet 2020; 395: 1927–36)
HALT-IT: 重症の消化管出血患者を対象とし, トラネキサム酸の効果を評価した, 1万人規模の大規模DB-RCT
・重症の消化管出血: 低血圧, 頻脈, Shock兆候, 輸血や緊急の手術・内視鏡治療が必要となる出血で定義.
上記を満たす成人患者を, Tranexamic acid, Placebo群に割り付け.
 Tranexamic acid: 1g 10分でDIV. その後125mg/h24時間継続(3gNS 1Lに溶解して24hで投与)
死亡リスク, 再出血リスク, 血栓症リスクを比較した.

母集団
・上部消化管出血がほぼ9割
・静脈瘤出血疑いが45%程度とほぼ半数を占める

アウトカム

・出血による死亡, 再出血リスクは両者で有意差なし
・出血部位や静脈瘤, 肝硬変の有無Rockall score別でも死亡リスクは有意差なし

処置の必要性や輸血についても有意差なし

合併症リスク:

・VTEリスクはTranexamic acid群で上昇
・痙攣リスクも上昇する

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注目していた消化管出血に対するトラネキサム酸の大規模RCT
予後を改善するものではなく, それどころか血栓症や痙攣のリスクとなってしまう結果であった.