内科医必読.
個人的に注目していたHALT-ITの結果が発表されました.
(Lancet 2020; 395: 1927–36)
HALT-IT: 重症の消化管出血患者を対象とし, トラネキサム酸の効果を評価した, 1万人規模の大規模DB-RCT
・重症の消化管出血: 低血圧, 頻脈, Shock兆候, 輸血や緊急の手術・内視鏡治療が必要となる出血で定義.
・上記を満たす成人患者を, Tranexamic acid群, Placebo群に割り付け.
Tranexamic acid群: 1g を10分でDIV. その後125mg/hで24時間継続(3gをNS 1Lに溶解して24hで投与)
・死亡リスク, 再出血リスク, 血栓症リスクを比較した.
母集団
・上部消化管出血がほぼ9割
・静脈瘤出血疑いが45%程度とほぼ半数を占める
アウトカム
・出血による死亡, 再出血リスクは両者で有意差なし
・出血部位や静脈瘤, 肝硬変の有無, Rockall score別でも死亡リスクは有意差なし
処置の必要性や輸血についても有意差なし
合併症リスク:
・VTEリスクはTranexamic acid群で上昇
・痙攣リスクも上昇する
------------------------------
注目していた消化管出血に対するトラネキサム酸の大規模RCT
予後を改善するものではなく, それどころか血栓症や痙攣のリスクとなってしまう結果であった.