治療前のスクリーニングで胸部レントゲンを評価
→ 網状影があり, CTで精査したところ, 中葉に気管支拡張と小葉中心性陰影を認めた.
MAC症を疑い, 精査したところ, 抗MAC抗体強陽性, 喀痰からM. aviumが検出された.
この場合RAの治療はどう気をつけるべきか?
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RAとNTM
Ontarioの≥67歳のRA患者を対象としたCase-control study
(Thorax 2015;70:677–682.)
・56269例のRA患者, このうち, TB 37例, NTM 211例を解析
使用DMARDとTB, NTM感染症リスク(aOR)
薬剤
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TB
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NTM
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TNF阻害薬
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5.04[1.27-20.0]
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2.19[1.10-4.37]
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経口ステロイド(低用量 ≤9mg/d)
中用量(10-19mg/d) 高用量(≥20mg/d) |
1.63[0.60-4.44]
2.53[0.55-11.6] 2.73[0.81-9.20] |
0.72[0.45-1.14]
1.66[0.99-2.78] 1.60[1.02-2.52] |
MTX
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1.10[0.44-2.72]
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1.31[0.93-1.86]
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レフルノミド
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4.02[1.08-15.0]
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2.74[1.59-4.70]
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スルファサラジン
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1.98[0.40-9.78]
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0.89[0.44-1.77]
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ヒドロキシクロロキン
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0.17[0.04-0.65]
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1.62[1.13-2.33]
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高リスクDMARD
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23.0[2.88-184]
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2.92[1.26-6.79]
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低リスクDMARD
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3.43[0.26-45.7]
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1.94[0.65-5.80]
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NSAID
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0.79[0.30-2.06]
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0.94[0.68-1.30]
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低リスクDMARD: ペニシラミン, 金製剤)
・NTMのリスクとなる薬剤はTNF阻害薬, レフルノミド, 免疫抑制剤.
またaORでは有意差は乏しいが, 当然ステロイドもリスクとなると考えるべき.
・PSL 15mg/d以上でNTM発症RR 8との報告もある(Clin Chest Med 36 (2015) 91–99)
・また, 日本国内におけるMTX, TNF阻害薬, IL-6阻害薬による結核, 悪性腫瘍, 骨髄障害の報告のまとめでは,
TNF阻害薬では結核 OR 27.30[24.47-30.47]
IL-6阻害薬はOR 2.61[1.78-3.83]
MTXではOR 4.62[3.64-5.86]との報告があるが, NTMについてはデータが乏しい (Ther Innov Regul Sci. 2018 May;52(3):339-347.)
TNF阻害薬では結核 OR 27.30[24.47-30.47]
IL-6阻害薬はOR 2.61[1.78-3.83]
MTXではOR 4.62[3.64-5.86]との報告があるが, NTMについてはデータが乏しい (Ther Innov Regul Sci. 2018 May;52(3):339-347.)
RA + NTM合併例における予後不良因子は?
98例のRA+NTM患者(非HIV)を後ろ向きに解析し, 予後不良に関連する因子を評価
(J Rheumatol 2013;40;1307-1315)
・98例中, MAC症が82例と大半を占める
予後不良因子はCRP値と画像所見:
・CRP ≥1.0mg/dL aHR 2.348[1.097-5.024]
・画像所見(結節/気管支拡張をRefとしたとき)
線維空洞性病変 aHR 4.291[1.903-9.678]
上記以外の所見 aHR 5.902[2.327-14.972]
・画像所見増悪までの中央期間は3.6年間
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NTMも結核と同様, TNF阻害薬やステロイドの使用により発症, 増悪リスクは上昇する.
csDMARDではレフルノミド, 免疫抑制剤でリスク上昇する可能性がある.
MTXは結核リスクにはなる. NTMリスクも上昇する可能性はあるが, データが乏しい.
RA+NTMでは, 特に空洞性病変を伴う場合は予後不良因子となる.
日本呼吸器学会の手引きでは,
・菌種がMACで,
X線病型が結節・気管支拡張型であり,
肺の既存病変が軽度,
全身状態が良好,
抗TNF治療が長期にわたって継続でき,
治療反応性が良好な場合に,
リスク・ベネフィットを考慮して投与は可能としている.
・線維空洞型では抗TNF-α阻害薬は禁忌.
(一般社団 法人日本呼吸器学会.2014; 59-70.)
MTXは結核リスクにはなる. NTMリスクも上昇する可能性はあるが, データが乏しい.
RA+NTMでは, 特に空洞性病変を伴う場合は予後不良因子となる.
日本呼吸器学会の手引きでは,
・菌種がMACで,
X線病型が結節・気管支拡張型であり,
肺の既存病変が軽度,
全身状態が良好,
抗TNF治療が長期にわたって継続でき,
治療反応性が良好な場合に,
リスク・ベネフィットを考慮して投与は可能としている.
・線維空洞型では抗TNF-α阻害薬は禁忌.
(一般社団 法人日本呼吸器学会.2014; 59-70.)