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2020年6月3日水曜日

CRPを指標とした抗菌薬投与期間

(JAMA. 2020;323(21):2160-2169. doi:10.1001/jama.2020.6348 )

Uncomplicated Gram-Negative bacteriaの菌血症患者を対象としCRPを指標として抗菌薬投与期間を決める群と7日間固定投与群, 14日間固定投与群に割付け, 治療効果を比較.
・患者は血液培養1セット以上でグラム陰性菌が陽性となった患者を対象.
 効果のある抗菌薬を5±1日間投与した時点で割付け.

割付けの24時間以上前から発熱, 血行動態不安定例, 重度の免疫抑制状態, ブドウ糖非発酵菌の菌血症, 複数菌の菌血症, グラム陽性菌菌血症, 再発性の菌血症(60日以内), 膿瘍形成や心内膜炎などComplicatedな菌血症は除外.

抗菌薬投与期間を, CRP指標群, 7日間群, 14日間群に割付け, 比較した.
 CRP指標群: 1-2日毎にフォローし, ピーク値から75%低下し, 48時間以上発熱を認めない場合に終了. 14日以上経過しても満たさない場合は, 指標として用いない.

アウトカムは30日時点での臨床的治療失敗リスク(非劣性試験, non-inferiority margin 10%)
・治療失敗は以下の1項目以上で定義
 菌血症の再発
 局所の膿瘍形成(腎盂腎炎で腎膿瘍を合併など)
 遠隔部位の同じ細菌の感染播種
 再度増悪し, 抗菌薬が再開される
 死亡
・二次アウトカムとして60, 90日の治療失敗リスク, CDIリスク
 抗菌薬に対する耐性, 入院期間なども評価

母集団
・UTI, 腹腔内感染症が大半を占める
 結果的にE coliやKlebsiellaが多い

アウトカム: 
抗菌薬投与期間
CRP指標群では7日間をピークに分布
 大半が10日間以内の投与期間となる.

治療失敗リスク
CRP指標群は7, 14日群と比較して治療成功率は非劣性
 数値的にはCRP指標群の方が治療失敗リスクは低い
・ただし治療失敗率に対するnon-inferiority marginが広すぎるのが問題

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PCTを指標としてICUにおける抗菌薬投与期間を決めるという報告はよく目にするが, CRPで抗菌薬投与期間を決める、という研究は少ない方と思う.

(でも実臨床では結構やっている人多くないですか?)

そういう場合の一つの指標として押さえておくと良いかもしれませんね。