アスピリン vs Placeboで, ≥4yr比較した8 RCTsのMeta-analysisでは,
(Lancet 2011;377:31-41)
・アスピリン群では悪性腫瘍による死亡Riskが有意に低下.
2.3% vs 3.0%, OR 0.79[0.68-0.92].
・悪性腫瘍別の死亡Risk
0-5yr follow | ≥5yr follow | 0-5yr follow | ≥5yr follow | ||
食道 | 0.78[0.27-2.23] | 0.43[0.11-1.72] | 原発不明癌 | 0.56[0.28-1.15] | 0.56[0.09-3.38] |
膵臓 | 0.88[0.44-1.77] | 0.25[0.07-0.92] | 全固形癌 | 0.88[0.72-1.08] | 0.64[0.49-0.85] |
結腸 | 0.78[0.39-1.56] | 0.41[0.17-1.00] | 血液腫瘍 | 0.82[0.44-1.54] | 0.34[0.09-1.28] |
胃 | 1.85[0.81-4.23] | 3.09[0.64-14.91] | 全悪性腫瘍 | 0.88[0.72-1.06] | 0.62[0.47-0.82] |
その他消化管 | 0.67[0.23-1.99] | 0.20[0.04-0.91] | |||
消化管全体 | 0.96[0.67-1.38] | 0.46[0.27-0.77] | |||
肺 | 0.92[0.65-1.30] | 0.68[0.42-1.10] | |||
前立腺 | 0.70[0.29-1.73] | 0.52[0.20-1.34] | |||
泌尿器 | 1.04[0.44-2.47] | 1.28[0.36-4.54] | |||
他の固形癌 | 0.86[0.52-1.44] | 1.01[0.51-1.98] | |||
非消化管全体 | 0.90[0.69-1.16] | 0.76[0.54-1.08] |
腫瘍発症を主なアウトカムとしていない点に注意.
45歳以上の女性において, ASA 100mgを隔日投与したRCTを, trial終了後, 計10年以上フォローしたObservational cohort.
(Ann Intern Med. 2013;159:77-85.)
・乳癌, 大腸癌, 肺癌の3つを評価;
長期間のフォローにおいて, 大腸癌のみリスク軽減効果が見込める.
964名の大腸癌, 直腸癌患者のProspective cohort.
(N Engl J Med 2012;367:1596-606.)
・アスピリン使用の有無, PIK3CA変異の有無別の生存率を評価.
・PIK3CA変異は161例(うちASA使用は65例),
・Wild-type PIK3CAは803例(うちASA使用は337例)であった.
・ASAは大腸癌死亡リスクを低下させるがPIK3CA変異(+)のみで低下した
さらに, 大腸癌診断前よりASAを使用している群でのみリスクは低下. 診断後に使用しても意味なし.
PIK3CA Type | 癌性死亡HR | 全死亡HR |
Wild-type | 0.96[0.69-1.32] | 0.94[0.75-1.17] |
Mutant | 0.18[0.06-0.61] | 0.54[0.31-0.94] |
現在までは長期間のアスピリン使用により大腸癌リスクが低下する可能性が示唆されているものの, RCTはなくCohortによる知見が主であった.
この度, Lynch症候群における前向きのアスピリンによる予防効果を評価したRCTが発表
CAPP2: Lynch症候群におけるアスピリンによる大腸癌予防効果
(Lancet 2020; 395: 1855–63)
・Lynch症候群と診断された861例を対象とし, アスピリン 600mg/d使用群 vs Placeboに割り付け10年間以上継続. 大腸癌発症リスクを比較したDB-RCT.
・患者は25歳以上で, 病的mismatch-repair mutationが証明された患者, またはAmsterdam diagnostic criteriaを満たす患者の親族, 治癒したLynch症候群による腫瘍の病歴がある患者(大腸は保たれている)を対象.
アウトカム
・10年~20年以内における大腸癌発症率はアスピリン群で9%, Placebo群で13%.
HR 0.65[0.43-0.97]と有意に大腸癌リスクは低下.
・大腸癌以外のLynch症候群関連腫瘍については有意差なし.
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高リスク患者において, 長期間のアスピリン使用は大腸癌リスクを低下させる.
数年では効果はなく, 少なくとも10年近くは使用し続けた方が良い
水道からアスピリン+スタチン水が出る日も近いか.