・機序は不明瞭であるが, 肺血管床でトラップされているMegakaryocyte, 血小板の集塊が全身循環に入り, 末梢組織において, Platelet-derived growth factorを産生し, 増生を促す仮説がある.
・肺疾患全般, 心疾患, 悪性腫瘍などで認められる.
(Am Fam Physician 2004;69:1417-24)
(Lung India. 2012 Oct-Dec; 29(4): 354–362.)
Clubbingの定義
(Evidence-based physical diagnosis 3rd, McGee)
・バチ指は, B/A >1.0で定義. 健常人では0.895±0.041
・もしくはWXY >190度. 健常人の角度は180±4.2
・Shamroth signは感度77-87%, 特異度90%, LR+ 8, LR- 0.2でバチ指を示唆する
また, 上記以外にもClubbinにはステージがあり,
初期には爪床の軟化所見などが認められる.
ステージ |
|
Grade 1 |
爪床が軟化する |
Grade 2 |
爪床と爪郭の角度が160度以上となる |
Grade 3 |
創部が特長的な凸型となる |
Grade 4 |
指先がバチ状型となる |
Grade 5 |
光沢を帯びた爪となり, 爪と接する皮膚に縦報告の線条を認める |
Clubbingを認める疾患群 (両側性)
(Lung India. 2012 Oct-Dec; 29(4): 354–362.)
片側性のClubbingを認める疾患群
(Lung India. 2012 Oct-Dec; 29(4): 354–362.)
各疾患におけるClubbingの頻度
両側性のClubbingの頻度
腫瘍性 |
頻度 |
気管支, 肺癌 |
32/111. 非小細胞癌 35%, 小細胞癌 4% |
胸膜腫瘍 |
21例中, 14.3% |
リンパ腫 |
縦隔リンパ腫の6/40(15%) |
鼻咽頭癌 |
転移を認める90例中6例(6.7%) |
中皮腫 |
30%, 良性のアスベストーシスでは14% |
肺疾患 |
頻度 |
嚢胞性線維症 |
頻度不明 |
アスベストーシス |
診断時, 43.1%で所見あり |
過敏性肺臓炎 |
診断時, 53.7%で所見あり |
IPF |
診断時, 49.1%で所見あり |
肺AVM |
19.4% |
肝肺症候群 |
9/14(64%), HPS非合併の肝硬変では5/66(7.6%) |
サルコイドーシス |
12.2% |
心疾患 |
頻度 |
チアノーゼ性心疾患 |
症例報告レベル |
消化管疾患 |
頻度 |
炎症性腸疾患 |
クローン病の37.5%, 潰瘍性大腸炎の12.6% |
肝疾患 |
PBCの24%, 慢性活動性肝炎の29%, 混合性肝疾患の24% |
Celiac sprue |
14.3% |
若年性結腸ポリポーシス |
5例中2例で認めた報告あり |
感染症 |
頻度 |
結核 |
16.9% |
心内膜炎 |
「心不全」と同程度の頻度, との記載があるのみ |
慢性寄生虫感染 |
ヒト鞭虫感染で合併した症例報告 住血吸虫症による結腸ポリポーシスの56.5% |
HIV |
HIV陽性患者の5.8% AIDSによる肺リンパ過形成症例で合併した報告 |
内分泌 |
頻度 |
甲状腺疾患 |
甲状腺皮膚症の19.7% |
血管 |
頻度 |
静脈うっ滞 |
静脈うっ滞に関連している, という説のみ. |
精神症 |
頻度 |
下剤濫用 |
症例報告レベル |
その他 |
頻度 |
SLE |
症例報告レベル |
CINCA症候群 |
CINCAでは “common"な所見であると記載 |
POEMS症候群 |
5.1% |
CINCA: chronic, infantile, neurologic, cutaneous, and articular
(J Am Acad Dermatol 2005;52:1020-8. )
片側性のClubbingの頻度
頻度は高くないが, 片側のClubbingを認めた場合は, 同側の麻痺がなければ血管病変をチェックする
(J Am Acad Dermatol 2005;52:1020-8. )