(ACTA REUMATOL PORT. 2013;38:29-36)
pSSにおける神経障害の合併頻度は10-60%と様々
・評価する母集団や評価方法により異なる.
・末梢神経障害のパターンは, 感覚神経障害が最も多く, 50-60%をしめる
特に有痛性のSmall fiber and sensory ataxic neuropathyとなる.
・他は多発単神経症, Polyradiculopathy, 運動感覚障害, 脳神経障害, 自律神経障害を生じる.
・上記の障害を複数合併することも多い
・神経障害は亜急性〜慢性経過となり, pSSの診断に先行して出現する例が8-9割近くある
乾燥症状が出現する前に神経症状が出現し得る.
(Curr Opin Neurol 23:509–513)
Small fiber sensory neuropathy(SFSN):
・神経性疼痛と, 温痛覚障害, 近く過敏を認めるが, 腱反射や振動覚は保たれ, 神経伝導速度も正常となる.
・pSSによるSFSNは左右非対称性で, non length-dependentとなる.
ほとんどが数年で増悪する慢性経過となるが, 一部で急性経過もある
・自律神経障害(対光反射障害, 起立性低血圧, 発汗低下)も伴うことがある
pSSに伴うSFSN 40例の解析:
(Medicine 2013;92: e10-e18)
・女性例が大半であり, SS診断からSFN診断まで5-6年.
・症状は焼ける様な感覚, しびれ感, 疼痛が主となる.
・頭部や末梢神経の長さに関わらず生じるNon-length dependent polyneuropathyとなる
pSSによる自律神経障害
・pSSの多くに軽度の自律神経症状を認める報告がある.
瞳孔反射の異常(Adie瞳孔など), 起立性低血圧など.
他の神経障害に合併していることも多い.
・初発症状として自律神経障害を認めることは少ない
三叉神経, 脳神経障害:
・三叉神経障害はpSSや他の膠原病に合併しやすい.
・片側, 両側性の感覚障害となる.
・他の脳神経障害はおもに運動障害となり, II, III, VI, VII, IX, X, XIIで認められる.
French nationwide multicentre prospective cohortで, pSSでの神経障害合併頻度は74/392(18.9%)
(RMD Open 2016;2:e000179.)
・末梢神経障害が16%, 中枢神経障害が3.6%
・感覚障害が9.2%と最多.
93例のpSS患者のうち, 26例(28%)で神経障害を合併.
(ACTA REUMATOL PORT. 2013;38:29-36)
・末梢神経障害が12例, 中枢神経障害が13例, 両者合併が1例.
・12例はpSS診断前に神経障害を認めていた.
神経障害を合併したpSS症例 92例の解析.
(Brain (2005), 128, 2518–2534)
・93%はpSS診断前に神経症状が先行.
・神経障害は主要な症状より, 以下の7パターンに分類された
Sensory ataxic neuropathy
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36例
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Painful sensory neuropathy
without sensory ataxia |
18例
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Multiple mononeuropathy
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11例
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Multiple cranial neuropathy
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5例
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Trigeminal neuropathy
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15例
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Autonomic neuropathy
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3例
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Radiculoneuropathy
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4例
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自律神経症状
pSS + 神経障害 82例の解析
(Medicine 2004;83:280–291)
・81%で神経症状はpSS診断前より出現
・SSの症状, 所見頻度
神経症状の頻度
・CNS障害が68%と多い. 末梢神経も62%
・中枢神経障害では片麻痺や小脳症状, 脳幹症状, 感覚障害が多い.
pSS+神経障害の治療
神経障害に対する免疫抑制剤の効果は報告により様々
・ステロイドは多発単神経症や多発性脳神経症には有効との報告が多いがSensory ataxic neuropathyには効果は乏しい.
・Sensory ataxic neuropathyやSmall fiber neuropathyにはIVIgが効果を示すとの報告もある(0.4g/kg/dを5日間)(J Neurol Sci. 2009 Apr 15;279(1-2):57-61.)
・他には抗TNF-α阻害薬やシクロホスファミド, アザチオプリン, リツキシマブ, INF-αなどが効果があるとする報告がある
(Current Opinion in Neurology 2010, 23:509–513)