ブログ内検索

2020年10月27日火曜日

低Na血症の補正: 3%食塩水 ボーラス投与 vs 持続投与の比較

 (JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2020.5519)

SALSA: 成人例の症候性*の低Na血症患者(≤125mEq/L)を対象とし, 間欠的ボーラス投与群 vs 持続投与群に割り付け比較

・*中等度の症状: 頭痛, 眠気, 倦怠感, 不快感

 重度の症状: 嘔吐, 意識障害, 痙攣, 昏睡(GCS≤8)

神経因性多飲症, 妊婦/授乳婦, 無尿, 低血圧, 肝疾患(AST,ALT>3ULN), 非代償性肝硬変, コントロール不良のDM(HbA1c>9%), 心臓外科手術既往, AMI, ACS, 頭部外傷, 3ヶ月以内の頭蓋内圧亢進歴は除外

間欠的ボーラス投与のレジメ


持続投与のレジメ

Relowering治療は5%ブドウ糖を10mL/kg, 1hで投与 and/or IVデスモプレシン 2µgを使用する.

母集団

・重症例が1/4程度含まれる


アウトカム

過度補正の頻度(24h>12mEq/L, 48h>18mEq/Lの補正)

・24-48hにおける症状残存率

・治療開始後~ 5mEq/L上昇までの時間

 治療開始後~130mEq/L達成までの時間

・良好な補正達成率: 24h5-9mEq/L上昇, 48h10-17mEq/L上昇または130mEq/L達成で定義


過補正率は両者で有意差なし

・目標値達成までの時間も両者で有意差なし.

・Relowering治療は持続投与群で多くなる

-----------------------------
・重度の低Na血症において, ガイドラインで推奨される3%食塩水のボーラス投与.
 実臨床では, ボーラス投与により過度にNaが上昇してしまうのではないか, という懸念があり, 避けられている状況もある.
・このRCTでは, ボーラス投与でも過補正のリスクは持続投与と変わらず, Relowering治療の必要となる例も少ないという結果であった. 安全に施行できそうな治療と言えそう.