シェーグレン症候群における唾液腺エコーは診断に有用との報告は多い.
シェーグレン症候群(SS)のエコー所見としては,
・不均一なエコー所見, 類円形の低エコー域, 線状高エコー, エコー輝度の低下, 腺の萎縮, 境界不明瞭などの所見が得られる.
・Meta-analysisでは, 感度 46-92%, 特異度73-98%とばらつきが大きい. (Rheumatology (Oxford). 2016 May;55(5):789-800)
・また, US所見とESSDAIには相関性が認められる(PLoS ONE 12(8): e0182287)
エコーは10MHzで評価.
・仰臥位で頸部は軽度進展し, 左右に軽度回旋した体位で, 顎下腺と耳下腺を評価する
・顎下腺は長軸方向のみで評価し, 耳下腺はAxial, coronal planeで評価.
(Ann Rheum Dis 2010;69:1321–1324.)
同様に唾液腺を障害する疾患としてIgG4関連疾患(IgG4関連涙腺炎/唾液腺炎: IgG4-DS)がある.
68例のIgG4-DS疑い症例(血清IgG>1747mg/dL + 涙腺, 唾液線の腫脹を認める群)において, 血清IgG4, 口唇小唾液線(LSG)生検, 顎下腺US, 顎下腺の切開生検を施行.
(MODERN RHEUMATOLOGY 2020, VOL. 30, NO. 2, 379–384)
・顎下腺USは12MHzで, B-mode, Dopplerで評価.
・IgG4-DSの所見は, 以下を満たすことで定義
>低エコーの結節性病変で血管分布が豊富
>顎下腺表層部において, 低エコーの網状構造が認められる
・IgG4-DSの病理では, 異所性の胚中心(eGC)と, その周囲の線維性変化が目立ち, それがエコーにて結節性の低エコーと網状の高エコーを生じる
・SSでは複数の低エコー領域と線・点状の高エコー領域, 網状構造が全体で認められる.
・ML(悪性リンパ腫)では表層における低エコー性の網状構造が認められ, IgG4-DSに類似
母集団において, IgG4-DSと診断されたのは31例, SSは28例認められた.
・ML4例中3例が顎下腺US陽性となるため, 注意が必要
各検査における感度, 特異度
・顎下腺USの感度は100%と良好.
血清IgG4値を加えると特異度も95%とかなり良い.
・一方で口唇小唾液線生検の感度は64.5%とかなり低い.
-----------------------------
唾液腺腫脹でSSやIgG4-RDが鑑別に上がる際は顎下腺エコーを行うと両者の鑑別はつけやすいかもしれない.
ただし, IgG4-DSと悪性リンパ腫のエコー所見は類似している点は念頭に置いておくべし