肺吸虫症(Paragonimiasis)
(Intern Med 54: 179-186, 2015)
・Paragonimus属(P. westermani, P. skrjabini miyazakii)による感染症で淡水に生息する甲殻類が二次中間宿主, 野生のイノシシが待機宿主でそれらの経口摂取で感染する.
・日本ではサワガニやイノシシ肉が主な感染源
・1950年代には多かったが, 集中的な予防により減少.
・1970年代には稀な感染症となったものの, 1980年代から徐々に報告例は増加しつつある.
日本国内における肺吸虫症の解析では2001-2012年に報告された肺吸虫症は443例.
・分布
・年齢分布と感染経路
症状頻度
・咳嗽, 血痰, 胸痛, 呼吸苦が主
・発熱は1割前後
血液検査
・好酸球増多(≥7%)は7−8割で認められる
画像所見
・胸水, 肺炎, 結節など
(気管支学.201234552−557)
野生動物の病原体保有率は?
東京西部で捕獲されたイノシシ42頭の肺検体において, 肺吸虫を精査した報告
・42頭全頭で肺吸虫を検出.
・4種類の肺吸虫が検出された; M. elongatus, M. salmi, M. asymmetricus, M. pudendotectus
・保有寄生虫量には季節性があり, 1-3月が最も多い. ちょうど猟期
(J Vet Med Sci 2007;69(4):417-420)
シカはどうか?
・岐阜県で捕獲されたシカ148頭のうち, 4頭より抗肺吸虫抗体が陽性.
・このシカが捕獲された地域にはウェステルマン肺吸虫のメタセルカリアを認めるサワガニが確認され, 胃内容物より甲殻類も検出された.
(日獣会誌 2018;71:449-453)