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2019年7月20日土曜日
本の感想: 仮病の見抜き方
國松先生の「仮病の見抜き方」を読みました
僕は本は漫画本以外は滅多に買いません.
m3やアンケートで溜まったポイントは全てKindleの漫画に消えます.
医学知識は論文から得ます. または医局の若手医師の本棚から得ることがほとんど.
若手の本棚には大抵の良書が揃っていますので.
ここ1年で買った活字系の本は狩猟関係だけです
でもこの本は買ってみました.
その理由は, 國松先生自身のSNSでしつこく, しつこく宣伝されていたことと,
(周囲の若手医師の本棚で見つからなかったため)
そして実は自分は國松先生に「同類臭」を感じているからでした.
國松先生とは「不定愁訴」の講演会で一緒に講演させていただいたことありますが, 話し込んだことはありません.
でもその講演会を聞いて, 「あ、この人同類だ」と思いました.
(医師キャリアとしては自分の方が全然下ですので、正直失礼な感想と思います)
そんなわけでシンパシーを感じていましたが, この本を読んで確信しました.
やっぱこの人 同類です.
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通常の診療では,
・患者の主訴, 背景, 経過からゲシュタルトを用いて端的に診断に持ってゆく
・主訴からアルゴリズム的に鑑別を検討し, 検査, 診断に持ってゆく
といった方法がとられることが多いと思います.
その精度は個人により大きく異なり, 臨床研修や専門研修でそのような能力を磨いてゆきます.
総合診療科というのは特に診断に特化している部分があると思います.
しかしながら, トレーニングをしても上記方法では全く解決できない患者さんがいます.
この本には, とても稀ではあるが ゲシュタルトがあればすぐに診断がつくエピソード, ゲシュタルト自体存在せず 患者さんの訴えや背景・振る舞いに「思いを馳せる」ことで解決に結びつくエピソードが織り混ざっていました.
後者も実は「そのような患者群」というゲシュタルトがあるのですが, それを言葉や図、写真で表現することは難しく、僕には表現できません. あるのは感覚だけです.
(それを文章で表現できてしまうのがまずすごいと思いました)
で, 自分が國松先生に同類臭を感じたのが, この後者の患者群の診療、「思いを馳せる」部分です.
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ぶっちゃけますと, ゲシュタルトが言葉や図で表現できる疾患は診断に苦慮しません.
専門疾患は専門医がしっかりと拾ってくれますし, その合間の疾患は我々総合診療医がきっちり拾います. これは少し勉強すればできることなので, 難しいとは思いません.
勉強大好き, カンファ大好きな研修医でもできてしまうことです.
問題は言葉や図で表現できないゲシュタルトの疾患, 病態, 症状です.
この部分の診療は非常に難しく、そして面白い(といったら失礼なのですが, あえて言いたい. 面白いと).
これは救急外来でその場限りの診療や, 専門外来で「自分の分野の疾患は否定的」で終わる診療をしていると一生身に付きません.
その後の患者が回ってくる総合内科外来, 心療内科外来, 精神科外来で根気よく, 興味を持ちつつ経験を積み重ねると身についてくるものと思っています.
で, 僕はそれはとても重要な感覚だと思うのですけども, これがどうも周りに理解されない. 研修医の救急症例のプレゼンに突っ込むとUZAがられる.
自分の上手くいった症例を自慢してもUZAがられる.
指導するにも上手く指導できない, というモヤモヤ.
理解されないフラストレーション.
そんなかで, そこにフォーカスしたこの本です.
ということで, 素直に嬉しいんです.
國松先生、ありがとうございます.
今度京都で飯食いましょう. または東京に行きます.
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最後に刺されるかもしれませんが, もう一度言います.
ゲシュタルトが言葉や図で表現できる疾患なんぞ診断できて当たり前.
その先を目指そうぜ!
(それでも診断が, 治療が難しいものもあることは重々存じております...)