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2016年12月9日金曜日

SIRSと菌血症リスク

SIRSは以下の4項目を評価し, 2つ以上を満たす時に定義される.
・体温 <36, >38度, 
・HR>90bpm, 
・RR>22, pCO2 <32mmHg, 
・WBC<4000, >12000, Band>10%.

2012年のJAMAのRational clinical examinationでは, 菌血症をアウトカムとした時, SIRSクライテリアの感度, 特異度は以下のとおりであった.

感度
特異度
LR(+)
LR(-)
SIRSを満たす
96%[74-100]
47%[41-53]
1.8[1.6-2.0]
0.09[0.03-0.26]

80%[64-90]
27%[19-37]
1.1[0.89-1.4]
0.75[0.35-1.6]
(JAMA. 2012;308(5):502-511)

除外には有用な可能性がある一方, Study間のばらつきも多く, なんとも言い難い結果.

2010-2012年に救急を受診し, 敗血症を疑われて血液培養を2セット採取された20192例を後ろ向きに評価.
(Medicine (2016) 95:49(e5634))
・年齢別(18-64歳, 65-74歳, ≥75歳)にSIRSクライテリアと血液培養陽性の関連性を評価.
・SIRSクライテリアを満たすのは7割弱.

菌血症は2656例(13.15%)で認められた.

・18-64歳群では12.11%, 65-74歳群では15.84%, ≥75歳群では13.35%
・体温異常は6割弱のみしか認められない. 頻脈の頻度は高い.
・多呼吸は特に高齢者の菌血症で頻度が高い
・WBC異常も6割前後の頻度

年齢別のSIRS項目と菌血症リスク

・SIRSクライテリアは有意に菌血症リスクを上昇させるが, 特に高齢者ほどそのリスク上昇は高い.
・>38度はどの年代でも菌血症リスクを上昇させるが, 高齢者では特にリスクが高い.
・多呼吸は<65歳群では菌血症リスクであるが, ≥65歳群ではリスクとはならない.
・高体温はリスクであるが, 低体温<36度は菌血症のリスクにはならない結果

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・年齢別にSIRSクライテリアと菌血症リスクを評価した興味深いデータと言える.
・近年呼吸数を数えることをよく指導している身としては, 高齢者では多呼吸は菌血症のリスク因子とはならない, という結果はややショックではある.
 でも考えてみると, 発熱やストレス, 重症患者では大体多呼吸なので, 呼吸数は菌血症リスクではなく, 肺炎の重症度や患者自身の重症度を示す指標と考えればそれはそれで良いのであろう.
・やはり高齢者で38度以上まで体温を上昇させる, というのはすごい労力であり, 若年よりも菌血症を強く疑う切っ掛けとなるのだと思う. これは実臨床でもよく思う事の一つ


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