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2016年9月13日火曜日

上腸間膜動脈解離(単独SMA解離)

上腸間膜動脈(Superior mesenteric artery)解離

な疾患だが, 近年CTの使用頻度に伴い報告は増加している
・1974-2003年までにPubMedで50件のCase reportがHitするのみ
 平均年齢56.3yr (41-87yr), 男性40, 女性10例
(Internal Medicine 2004;43:473-8)
・近年は症例報告が増加してきており, 特に日本, 韓国, 中国といったアジアからの報告が大半を占めている. なぜアジアから多いのかは不明.
・SMA解離のリスク因子や機序も明確になってはない.
 Fibromuscular dysplasia, cystic medial necrosis, arterial mediolysis, adventitial inflammation, disruption of the internal elastic laminaなど推測されている
・SMAのshear stress injuryの関連も考えられている
・SMA単独解離と腹部大動脈解離に合併するSMA解離も異なる病態の可能性があり, 両者の比較では単独解離はより男性に多く(90% vs 71%), 腹部症状も多い(77% vs 0%). 高血圧の合併は少ない(31% vs 66%)

(Vasc Spec Int 2016;32(2):37-43)

2014年までに中国で報告されたSMA単独解離 622例の解析
・平均年齢は55.4歳(28-88), 88.5%が男性例
症状, 併存症の頻度
・腹痛は最も多い症状. 突如発症の腹痛となる.
 ついで多いのが悪心嘔吐.
・基礎疾患は高血圧が多いが, それでも半分以下. 
 動脈硬化のリスクとなる疾患は多いとは言えない.

解離の形態, タイプ
・解離の幅は平均63.1mm[10.7-205.9]
・解離のタイプ(Yun分類)は, Type Iが27%, IIaが21.3%, IIbが45.7%, IIIが6.0%

他のNの多い報告のまとめ

SMA解離の対応
(Circ J 2016;801323-5)

・症状が持続する場合, 末梢血流障害がある場合は血管内治療や手術治療を考慮する
・それ以外は保存的加療. (Ann Vasc Surg 2015; 29: 475–481)
 保存的加療では抗凝固療法や抗血小板療法を考慮する.
 保存的加療では7日以内(4日[1-7])で腹痛は改善する例が多い. (Vasc Spec Int 2016;32(2):37-43)


血管内治療は比較的低侵襲であるが, 長期的予後がまだわからない状況.
・基本的に保存的加療が優先されるが, 
 7日以上症状が持続する症例や, 高齢者で長期的予後を考慮する必要がない場合は血管内治療を考慮する.(Vasc Spec Int 2016;32(2):37-43)

国内(慶応大学, 関連病院)で診断されたSMA単独解離 59例の解析では,
(Circ J 2016; 80: 1452–1459) 
症候性が36, 無症候性が23例.
・経過中に外科手術を必要としたんは3例のみであった.
・保存的加療とした41例のフォローでは, 症候性の16/25が完全に解離所見の改善を認められた(64%)
・保存的加療は症候性では抗血小板薬, 抗凝固療法(55.6%), 無症候性では抗血小板薬の使用が主となる.

保存的加療群のフォロー

・症候性では64%で完全に改善を認める.
 不変なのは20%
 無症候性では変化無しが7割と多い

SMA解離に対するワーファリン
単一施設において, 8年間で診断した特発性SMA解離で抗凝固薬で治療を行った52例を解析.
(Medicine 95(16):e3480)
・発症後11日目で48例で症状は改善.
・改善しなかった4例中, 3例は血管内治療, 1例は外科手術を施行された.
・抗凝固薬の投与期間は9ヶ月[3-60]
・出血性副作用は2例のみ.
・血管のリモデリングは41例で認められ, 変化を認めなかったのは7例.

CT血管造影所見の変化
 完全なリモデリングは42%で認められる
I) Entry, re-entryが保たれている
II) re-entryがなく, 盲端となっている
III) 偽腔内血栓閉塞があり, 潰瘍様の造影が認められる
IV) 偽腔内血栓閉塞があり, 潰瘍様の造影が認められない
V) SMAの解離と狭窄を認める
VI) 部分的, 完全閉塞

SMA解離の報告のまとめ
・抗凝固薬で治療を行うのは15-100%, その後腹腔内出血をきたすような報告もなく, 安全に使用は可能と考えられる.

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