(POLSKIE ARCHIWUM MEDYCYNY WEWNĘTRZNEJ 2010; 120 (11):452-457)
さらにAxial SpAには強直性脊椎炎やNon-radiographic Axial SpA(XPで所見ないが, MRIで関節炎所見+)
Peripheral SpAには乾癬性関節炎, 反応性関節炎, 炎症性腸疾患由来, 分類不能SpAなどが含まれ, 双方は一部でオーバーラップする.
さらにそれにSAPHO症候群やCNO, CRMOとのオーバーラップもあると個人的には考えている*
*注: SpAとSAPHO, CNO, CRMOは厳密にはことなります.
SpAは自己免疫性機序, SAPHOやCNO, CRMOは自己炎症性疾患に分類されます.
臨床症状やプレゼンテーションが似ており, オーバーラップするところがあるということです.
詳しくは
CRMO, CNO
SAPHO
(Journal of Autoimmunity 48-49 (2014) 128e133 )
Axial, Peripheral SpAの診断クライテリア
(Curr Opin Rheumatol 2013, 25:287 – 296 )
さてここまでが前置き.
診断基準におけるSpAの特徴には炎症性背部痛(Inflammatory back pain)という項目がある.
これを評価する, ひろいあげるにはどうしたらよいのか?
炎症性背部痛の特徴, クライテリア
(Ann Rheum Dis 2010;69:1264–1268.)
炎症性背部痛を評価する基準にはCalin criteriaとBerlin criteriaが有名.
・Calin古くから使用されているクライテリアであり, 5項目中4項目以上を満たせば感度95%, 特異度85%と良好なものの, 追試験により結果はばらつきがある.
・Berlin criteriaではさらに朝のこわばりの時間が30分以上としたり, 就寝の後半で背部痛生じる, 臀部痛にも言及する細かいクライテリアとなっており, より特異性が高い.
45歳未満で発症した2ヶ月以上持続する腰痛 322例において, 炎症性背部痛の問診を施行.
・最終的にSpAと診断されたのは35.1%
・よりSpAの可能性を上げる項目は
> 就寝時の後半で
> 背部痛により起きる.
> NSAIDで改善
> 変動性(Alternating)の臀部痛
> 腱付着部炎の既往など
これより
<35歳の発症,
就寝時の後半部分で疼痛で起きる,
変動性の臀部痛,
NSAIDで48h以内に改善,
運動で改善 の5項目中
4項目以上満たすと感度47.8%, 特異度86.1%
3項目以上では感度78.8%, 特異度46.4%
2項目以上では感度96.5%, 特異度17.0% でAxial SpAを診断.
(Ann Rheum Dis 2011;70:1782–1787. )
炎症性背部痛のための6項目質問票
(J Rheumatol 2012;39:822–9)
背部や臀部にこわばりがありますか?
あれば, それはいつでしょうか? A: 朝起床時*, B: 午後, C: 夕方, D: 時間によらない |
寝ている時に背部痛や臀部痛で起きることがありますか
よくある* たまにある* 全くない あれば, いつ起きますか 寝てすぐ 早朝* |
背部痛や臀部痛は1日のなかでいつが最悪でしょうか
朝* 午後 夕方 夜間 該当なし |
関節が腫れたり痛くなったりしたことはありますか
あり* なし あればどの関節でしょうか? |
運動や体操で背部痛/臀部痛はどうなるでしょうか?
A:増悪する B:影響はない C:改善する* |
安静や臥位で背部痛/臀部痛はどうなるでしょうか?
A:増悪する* B:影響はない* C:改善する D:該当なし |
(*の項目は炎症性背部痛を示唆)
炎症性背部痛 220例とMechanical back pain 66例で質問票の項目の炎症性背部痛に対する有用性を評価
Calinの質問票は, 5項目についてYES NOで答えてもらう(年齢以外)
・3ヶ月以上腰痛で困っていますか?
・早朝の背部のこわばりがありますか?
・何歳の頃から背部痛が出現しましたか?
・背部痛は徐々に出現したのですか?
・背部痛は運動で改善しますか?
・6項目より日内変動, 安静時の変化, 運動時の変化の3項目のみで評価し, 2項目以上満たす場合, 感度 54%, 特異度 90%と診断に有用
・Weighted score方式も有用かも
・日内変動だけでも特異性は高い
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これらをまとめると,
腰痛、背部痛、臀部痛における炎症性背部痛の評価では、
・夜間就寝時間の後半部分〜早朝にかけて強くなる背部痛で
・安静で改善せず, 運動で軽快する.
・早朝の背部のこわばりがある
という特徴が強い.
他に関節炎や腱付着部炎、ぶどう膜炎や乾癬の合併があればよりSpAである可能性は上昇する, というのは言うまでもなかろう