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2016年3月15日火曜日

疥癬を皮膚鏡(Dermatoscopy)で評価する

疥癬はSarcopetes scabieiが皮膚に感染することで生じる慢性の掻痒を伴う皮膚炎.
Sarcoptes scabieiは0.2-0.4mmのダニ(ビゼンダニ)で,皮膚の角化組織内に寄生し, 卵を産む.

・指の皺や腋窩, 殿部, 腹部など柔らかい皮膚を好む.
・周囲の皮膚に過敏性反応として2-5mm程度の発疹を伴うこともある
・診断は皮膚を剥離し, 検鏡で虫体や虫卵, 糞便を検出すること
(CMAJ 2008;178:1540)

皮膚鏡(Dermatoscopy)にて虫体を確認する方法もある.
・20-40倍拡大の皮膚鏡を使用し, 疥癬トンネル内の褐色の虫体を確認する
・疥癬トンネル内の褐色の三角形として確認可能なこともある.
左: 10倍の拡大で評価したもの
右: 20-40倍で拡大
(CMAJ 2008;178:1540)

疥癬疑い患者 238例において, 剥離皮膚の検鏡とDermatoscopyによる評価の感度, 特異度を評価した前向きStudy
( J Am Acad Dermatol 2007;56:53-62.) 
・Dermatoscopeは10倍拡大率で評価できるデバイスを使用.

・患者は1週間以上の掻痒感(+)で他に原因となる皮膚所見に乏しい患者か皮膚科医により疥癬を疑われた患者群
・患者は受診時にDermatoscopeによる評価, 皮膚擦過による鏡検を施行.
・最終的に鏡検にて陽性となった症例, 鏡検で陰性, Dermatoscopeで陽性となった症例の場合は, 陽性となった部位で再度皮膚擦過を行い鏡検し, 陽性となった症例を皮膚疥癬(+)と判断.

Dermatoscopeと鏡検の感度, 特異度
検査
感度
特異度
LR+
LR-
Dermatoscope
91%[86-96]
86%[80-92]
6.5[4.1-10.2]
0.10[0.06-0.18]
剥離皮膚 鏡検
90%[85-96]
100%
-
0.10[0.06-0.17]
・Dermatoscopeも鏡検も感度は90%と良好.
・Dermatoscopeでは行うのに1分もかからない簡便で迅速な検査.

疥癬疑いの125例において, 剥離皮膚の鏡検, 粘着テープによる検査, Dermatoscopyの感度, 特異度を評価した前向きStudy.
(Arch Dermatol. 2011;147(4):468-473)
・1週間以上の掻痒を伴う皮膚変化があり, 疥癬が疑われた症例を対象
・Dermatoscopyは10倍の拡大率で評価.
・テープテストは透明のテープ(セロハンテープなど)をスライドグラスと同じサイズに切り, 病変部に貼り付ける. 
 その後すぐに剥がして, スライドグラスに貼り, 鏡検まで10-14度で維持
 スライドは作成後3時間以内に評価し, 最初は40倍視野で, 疑わしい所見があれば100倍視野で評価する.
・確定診断は鏡検にて所見が認められた場合に確定(鏡検もしくはテープテスト陽性)

検査の感度. 特異度
検査
感度
特異度
Dermatoscopy
83%[70-94]
46%[34-58]
テープテスト
68%[52-81]
100%[94-100]
剥離皮膚 鏡検
46%[31-62]
100%[94-100]
・Dermatoscopyが最も感度が良好. 他の検査では感度は低い.
・剥離皮膚の鏡検よりもテープテストの方が感度は良好.

前のStudyのように, 剥離皮膚鏡検とテープテストが陰性, Dermatoscopyが陽性の場合に再度検査を繰り返してはいないのが難点.

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皮膚鏡(Dermatoscopy)は全身性硬化症の評価, 間質性肺炎における二次性の評価, 皮疹の評価などなど, 内科医でも多く使用するデバイスです.
私個人的には自前で所持し, ことあるごとに使っているとても愛着のある道具です.
疥癬疑いにも頻繁に使っていますが, まだあまり所見にお目にかかったことがないのが残念?な所です.

ハマると面白い道具ですよ

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