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2016年3月10日木曜日

妊婦における虫垂炎の診断

妊婦では800-1500人に1人の確率で虫垂炎を発症
・そもそも妊婦自体は, 非妊婦よりも虫垂炎リスクは低い(OR 0.78[0.73-0.82])
 妊娠後期では若干リスクは上昇する程度.
妊婦における妊娠関連以外で行う最も多い外科手術の原因となる.

問題は, 妊婦における虫垂炎では診断が難しいこと
・診断できずに虫垂が破裂し, 合併症をきたすことも多い.
・妊婦ではそもそも消化管症状が多いこと, 
 妊娠した子宮により虫垂の位置が変化する点,
 生理的白血球上昇があることが診断困難の原因
・また, 被曝の問題もあり, CT検査の閾値もあがる.
・超音波が有用であるが, 感度は不十分という問題がある.
(Rev Assoc Med Bras 2015; 61(2):170-177)

妊婦における虫垂の位置の変化
(Obstet Gynecol Clin N Am 41 (2014) 465–489)

妊婦における虫垂炎の症状
・713例のReviewでは, 虫垂破裂は25%で認められた.
 胎児死亡率は8.5%, 早産が6.4%
特徴, 症状
頻度
所見
頻度
妊娠初期で発症
26%
筋性防御
50%
妊娠中期で発症
48%
反跳痛
80%
妊娠後期で発症
26%
RLQ圧痛
85%


RUQ圧痛
20%
悪心
85%
直腸診で圧痛
45%
嘔吐
70%
体温>37.8
20%
食欲低下
65%


腹痛
96%
WBC <1/µL
15%
RLQ疼痛
75%
WBC 1-16
35%
RUQ疼痛
20%
WBC >16
50%
排尿時痛
8%
Neu ≥ 80%
90%
(South Med J. 1992 Jan;85(1):19-24.)

・妊婦でも, 非妊婦の虫垂炎とほぼ同じ症状, 所見を呈する.
 妊娠の時期に関わらず, RLQの痛みが最も多い.
・炎症した虫垂が膀胱や尿管に隣接すると, 膿尿や排尿時痛を生じる.
(Rev Assoc Med Bras 2015; 61(2):170-177)

妊婦の虫垂炎疑いにおける検査
妊婦の虫垂炎疑いではまず腹部エコー
・エコーは他の疾患(卵巣捻転や尿管結石)の評価も兼ねて行う.
・虫垂が腫大(>6mm)していれば診断に有用であるが, 正常の場合や, 描出できない場合は除外は困難である.
・感度は67-100%, 特異度は 83-96%との報告あり(非妊婦では感度86%, 特異度 96%).
(Rev Assoc Med Bras 2015; 61(2):170-177)

エコーで診断がつかない場合はMRIを考慮する
・Ga造影は基本的には使用しない. 胎児への影響は不明.
・特に妊娠初期におけるMRIは虫垂の描出能は良好(USでも初期ほど虫垂は描出しやすい)
 (Am J Obstet Gynecol. 2015 Mar;212(3):345.e1-6.)
・USで診断がつかない場合のMRI検査は, 感度 80%[44-98], 特異度 99%[94-100]で虫垂炎を評価可能
 CTは感度 85.7%[63.7-97], 特異度 97.4[86.2-99.9]とほぼ同等.
 (Obstet Gynecol Surv. 2009 Jul;64(7):481-8)

妊婦におけるMRI評価で推奨されるプロトコール
(Current Problems in Diagnostic Radiology 44 (2015) 297–302)

MRI画像



多施設における後ろ向きstudy.
・2009-2014年の間に虫垂炎を疑われた妊婦で単純MRIを施行された709例を評価.
・MRI前にUSを施行したのは192例(24.5%)のみ.
・MRIで虫垂に所見を認めた症例全例が手術治療を施行している.

709例中66例がMRIで虫垂に異常所見あり.
・そのうち組織的に虫垂炎と診断されたのは61例.
・MRIで所見を認めなかった643例中, 72例(11.2%)がMRI検査で他の腹痛の原因が判明.
 また, 2例が最終的に虫垂炎と診断.
単純MRIは感度96.8%[89-99.6], 特異度 99.2%[98.2-99.8%]で虫垂炎を示唆する結果.
(Am J Obstet Gynecol. 2015 Nov;213(5):693.e1-6.)

CTは臨床所見, US, MRIで判断がつかない場合に考慮
・被曝が少ないようなプロトコールも開発されているがその診断能については未評価.
(Rev Assoc Med Bras 2015; 61(2):170-177)

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