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2016年3月22日火曜日

急性大動脈解離のリスクスコア

2010年のACC/AHAの急性大動脈解離ガイドラインに
急性大動脈解離を予測するリスクスコアがある(ADDリスクスコア)

スコアは3つのカテゴリーで評価し, 

・全て満たさない場合は 低リスク(0点), 
・1つ満たす場合は中リスク(1点)
・2つ以上満たす場合は高リスク(2-3点)と判断
既往, 家族歴
疼痛の性状
所見
マルファン症候群
大動脈解離の家族歴
既知の大動脈弁疾患
最近の大動脈に対する処置歴
既知の胸部大動脈瘤
胸痛, 背部痛, 腹痛が以下の性状を満たす
・突然発症
・重度の疼痛
・避けるような疼痛
脈拍の欠損
左右の収縮期血圧差
神経局所症状 + 疼痛
新規A弁不全による雑音* + 疼痛
低血圧, ショック
* 新規の出現か, 今まで指摘がない場合

・ADDリスクスコア ≥1は感度95.7%
・反対に言えばリスクスコア 0でも4.3%は大動脈解離. (Circulation. 2011;123:2213-2218.) 

急性大動脈解離を疑われた1328例おいて, ADDリスクスコアを評価した前向きStudyでは,
・そのうち291例(21.9%)が大動脈解離であった
・ADDリスクスコア 
 0点は33.1%であり, そのうち5.9%が解離症例
 1点群は48.6%であり, そのうち 27.3%が解離症例
 2点以上は18.3%であり, そのうち 39.1%が解離症例
・ADDリスクスコア 0点は, 感度 91.1%[87.2-94.1], 特異度 39.8%[36.8-42.9]
 リスクスコア 2点以上は, 感度 32.7%[27.3-38.4], 特異度 85.7%[83.5-87.8]
(Eur Heart J Acute Cardiovasc Care. 2014 Dec;3(4):373-81.)

除外が可能なスコア, というわけではない

ADD risk score(RS)とD-dimerを合わせると
急性大動脈解離疑いの1035例を対象としADD RSとD-dimer上昇(≥500ng/mL)を評価した前向きStudy
・大動脈解離は233例(22.5%)で診断.
・ADD RS 0点は31.1%, 1点は49.1%, ≥2点は19.8%
・各群におけるD-dimer(カットオフ 500ng/mL)の感度, 特異度
患者群
感度(%)
特異度(%)
LR+
LR-
ADD RS 0
100%
30.4[25.2-35.9]
1.44[1.33-1.55]
0
ADD RS 1
98.7[95.3-99.8]
35.7[32.1-39.4]
1.53[1.45-1.63]
0.04[0.01-0.15]
ADD RS 2-3
97.5[91.4-99.6]
37.1[28.6-46.2]
1.55[1.35-1.78]
0.07[0.02-0.27]
(International Journal of Cardiology 175 (2014) 78–82)

 ADD RS 0点群におけるD-dimerのNPVは100%, PPVは8.26%
 ADD RS 1点群におけるD-dimerのNPVは99.2%, PPVは25.6%
 ADD RS 2-3点群におけるD-dimerのNPVは95.8%, PPVは50.3%

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D-dimerと組み合わせると, ようやく除外が可能なスコア, と言えるかもしれない.
また, D-dimerに頼るのはADD RS 0~1点程度にしておくべきであり,
ADD RS 2以上ではそもそもD-dimerの結果に関わらず, 評価必要がありそう.
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ADDリスクスコアにエコーを組み合わせてみる

エコーではFOCUSを評価
FOCUSは心エコーにおいて, 以下を評価する方法で, 上行大動脈解離の評価を行う.
直接的な解離所見: フラップ, 壁内血腫(壁厚>5mm)
間接的な解離所見: 上行大動脈の拡張(≥4cm), A弁不全の存在, 心嚢水貯留

大動脈解離を疑われた281例を対象とし, FOCUSとADDリスクスコアを評価した前向きStudy.
(Intern Emerg Med (2014) 9:665–670 )
・上記のうち50例がA型大動脈解離. 13例はそれ以外の大動脈解離.
各検査, ADDリスクスコアのA型解離に対する感度, 特異度
検査
感度(%)
特異度(%)
LR+
LR-
エコー所見: 直接
54[39-68]
94[90-97]
8.9[5-15.7]
0.5[0.4-0.7]
上行Ao拡張
70[55-82]
75[69-81]
2.8[2.1-3.8]
0.4[0.3-0.6]
AV不全
50[35-64]
80[75-85]
2.6[1.7-3.8]
0.6[0.5-0.8]
心嚢液
36[23-51]
88[83-92]
3[1.8-4.9]
0.7[0.6-0.9]
FOCUS どれか1項目以上
88[76-95]
56[49-62]
2[1.7-2.4]
0.2[0.1-0.5]
ADD RS >0
90[78-97]
28[22-34]
1.2[1.1-1.4]
0.4[0.1-0.8]
ADD RS >0 + FOCUS
96[86-99]
15[10-20]
1.1[1-1.2]
0.3[0.1-1.1]
ADD RS >1
40[26-55]
81[75-86]
2.1[1.4-3.2]
0.7[0.6-0.9]
ADD RS >1 + FOCUS
24[13-38]
98[96-99]
13.9[4.7-41.2]
0.8[0.7-0.9]
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超緊急で処置が必要な上行解離はADD RSとFOCUSで評価しつつ,
可能性が低ければD-dimer待ちつつCTを考慮, とかいうマネージメントはどうだろうか.
エコーなら腹部Aoも評価できますし.

当然なにかひっかかれば(以下の場合)すぐに動くと.
・ADD RS ≥2
・FOCUS陽性
・ADD RS 0-1, FOCUS陰性の場合はD-dimer陽性の場合

まあ臨床はそんな簡単にはいかないのですけどもね。

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