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2016年3月20日日曜日

アカラシア: 特発性と二次性(悪性腫瘍)の比較

高齢者におけるアカラシアでは悪性腫瘍を念頭におく必要がある.

どのような悪性腫瘍が原因となるか?
直接浸潤による機序
(J Gastrointest Surg. 1999 Sep-Oct;3(5):456-61.)

直接浸潤では食道癌, 胃噴門部癌, 胃リンパ腫, 中皮腫など胸膜の腫瘍,
転移性腫瘍が原因となる.

その辺は想像に難くない.

非直接浸潤(傍腫瘍症候群としての)によるアカラシアもある
肺小細胞癌では直接浸潤はなくても, 二次性のアカラシアやGastroparesisをきたす.
・腫瘍が産生する抗Hu抗体(ANNA-1抗体)が関連している
 ANNA: anti neuronal nuclear antibodies
・抗ANNA-1抗体産生は肺小細胞癌で多く認めるが, 他に前立腺癌, 乳癌, メラノーマ, リンパ腫, 肺扁平上皮癌でも報告がある.
(Am J Med Sci 2009;338(1):69–71)

特発性 vs 二次性(悪性腫瘍性)の比較

悪性腫瘍に伴うアカラシア18例と特発性421例の比較
悪性腫瘍は胃食道接合部の腫瘍が16例, 他は十二指腸が1例, 乳癌が1例
二次性の年齢は57.1歳[範囲 15-78], 特発性では47.1歳[範囲 1-90]と有意に二次性の方が高齢であるが, 特発性の範囲も幅が広い
症状出現からの期間は二次性で4.5ヶ月, 15/18が6ヶ月未満と短い
体重減少は二次性で88.2%, 特発性では57.3%と有意に多い結果
(Am J Gastroenterol. 1990 Oct;85(10):1327-30.)

6例の二次性症例と161例の特発性を比較.
二次性では平均年齢62歳, 特発性では44歳と有意に二次性で高齢.
 60歳以上で発症したアカラシアの9%が二次性(腫瘍性)
体重減少は二次性で10kg[0-23.5], 特発性で2.3kg[0-22.7]
症状持続期間は二次性で3ヶ月[1-48ヶ月], 特発性で24ヶ月[1-600]
(Am J Med. 1987 Mar;82(3):439-46.)

Literature reviewによる二次性67例, 特発性の比較

高齢, 短期間で増悪, 体重減少が高度, この3つは二次性のリスク!
(J Gastrointest Surg. 1999 Sep-Oct;3(5):456-61.)


食道造影所見も踏まえた両者の比較

悪性腫瘍によるアカラシア 10例, 特発性29例の比較
腫瘍は食道癌が3例, 胃噴門部癌が3例, 肺癌が3例, 子宮が1例.
・両者で有意差があるのは年齢, 嚥下障害の期間, 狭窄部位の長さ, 近位部の食道拡張の径.
・二次性では高齢者で, より進行が早い傾向がある
(AJR 2000;175:727–731)

二次性(17例)と特発性(30例)の食道造影所見の比較
・二次性は食道癌が10例, 胃噴門部癌が6例, 胃食道接合部のリンパ腫が1例.
特発性では初診時の年齢は39歳[18-74],  症状出現〜受診まで3.5年[3ヶ月〜10年]
 二次性では初診時の年齢は49歳[31-78], 症状出現〜受診まで3ヶ月[1-11ヶ月]
・造影所見:

特発性
二次性
狭窄部 < 椎体高
53%
24%
狭窄部 > 椎体高
27%
41%
狭窄部が2椎体高に近い
0
35%
拡張部径 < 椎体高
20%
65%
拡張部径 > 椎体高
47%
35%
拡張部径が2椎体高に近い
23%
0
Tram-track所見
57%
0
Shouldering
0
88%
Filling defects
0
94%
左右対称
100%
29.5%
Tertiary contractions
90%
23.5%
Indian J Radiol Imaging. 2015 Jul-Sep; 25(3): 288–295. 

狭窄部がより長く, 拡張部がより狭いのは二次性を疑う.
他にShoulderingやFilling defects, 左右非対象, Tram-track所見(-)は二次性を示唆する所見

特発性を示唆する所見

二次性を示唆する所見
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・まず高齢発症で, 体重減少が著明で, 経過が早いアカラシアは要注意と覚えておく.
・さらに造影所見も重要であるが, これらは直接浸潤によるアカラシアであり,
 直接浸潤によらない機序(抗ANNA-1抗体陽性例)もあるため注意する.
・抗ANNA-1抗体陽性となる腫瘍は, 肺小細胞癌, 肺扁平上皮癌, 乳癌, 前立腺癌, メラノーマであり, その辺のスクリーニングもしても良いかもしれない.

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