肺癌スクリーニングを評価したStudyのメタでは
CT所見にて肺気腫を認める場合, 肺癌診断リスクは OR 2.11[1.10-4.04]と約2倍となる (Lung Cancer 77 (2012) 58–63)
ただし、COPD患者において肺癌をどの程度の頻度でスクリーニングすべきか、という点は明確には決まっていない。
GOLD 1−2の軽症〜中等症COPD患者を
2つのコホートから年齢, 性別, BMI, FEV1, 喫煙量を合わせて抽出 (Respiratory Medicine (2013) 107, 702-707 )
2つのコホートから年齢, 性別, BMI, FEV1, 喫煙量を合わせて抽出 (Respiratory Medicine (2013) 107, 702-707 )
コホートはLow-dose CTで年1回スクリーニングを行う前向きコホートと, BMIとCOPDのリスクを評価する目的の前向きコホート研究.
それぞれより年齢, 性別, BMI, FEV1, 喫煙量をMatchさせて抽出し, スクリーニング群と非スクリーニング群で肺癌診断率、死亡率を比較した(各群333例ずつ抽出)。
アウトカム(31ヶ月のフォロー)
スクリーニング群では肺癌発症率は1.79/100pt-y, 肺癌死亡は0.08/100pt−y
コントロール群では肺癌発症率 4.14/100pt−y, 肺癌死亡は2.48/100pt−y
コントロール群では肺癌発症率 4.14/100pt−y, 肺癌死亡は2.48/100pt−y
それぞれの肺癌発症率は比較できないものの,
肺癌診断時のステージはスクリーニング群で有意に早期癌が多い。
また、肺癌死亡率は有意にスクリーニング群で低い結果。
参考) 肺癌のステージと5年生存率 (Curr Probl Diagn Radiol 2013;42:220–230.)
どのようなCOPD患者で肺癌リスクが高いのであろうか、という評価にCOPD−LUCSS(lung cancer screening score)というものがある
2つの肺癌スクリーニングコホート(P−IELCAP, PLuSS)よりCOPD患者群を抽出し, 肺癌のリスクを評価. (Am J Respir Crit Care Med Vol 191, Iss 3, pp 285–291, Feb 1, 2015)
PLuSSにおいてCOPD患者の肺癌リスクを評価するスコアを作成し
P-IELCAPにてバリデーションを施行.
P-IELCAPにてバリデーションを施行.
COPD患者において肺癌のリスク因子となるのは以下の4項目
4項目でCOPD−LUCSS(lung cancer screening score)を作成
COPD−LUCSS
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HR
|
点数
|
年齢>60歳
|
2.3[1.5-2.3]
|
3
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BMI<25
|
1.2[0.9-1.8]
|
1
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喫煙 >60 pack−years
|
1.5[1.1-2.2]
|
2
|
画像にて肺気腫所見
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2.7[1.7-4.3]
|
4
|
スコアと肺癌発症率
COPD−LUCSS 0−6点がLow−risk群、7−10点がHigh−risk群と判断する。
High−risk群は肺癌 HR 3.5[1.7-7.1]。
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COPDでは肺癌スクリーニング、フォローが必要なのであろうが、
全例で行うのか? その頻度はどうするのか? 方法は? まだまだよくわかりません。
肺癌リスク因子やスコア別でスクリーニングの適応や方法を考え、
それをStudyで検証し、実臨床へ応用できるようになるまではまだまだかかりそうです。
High-riskならば少なくとも年1回の画像評価はしてもいいと思います。個人的には。