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2015年7月21日火曜日

ワーファリン使用中患者のブリッジング療法

心房細動で予防的ワーファリン、抗凝固薬を使用している患者が待機的手術を行う場合、抗凝固薬は中断する必要がある。

中断している間、ヘパリンやLMWH(国内では未承認使用となる)による繋ぎ療法(ブリッジング)が行われる、ことが多いが、個人的にはあまりしていない。

2014 AHA/ACC/HRS guidelineでは人工弁患者ではブリッジングが推奨されるが, それ以外では行う必要性は低いとしている. (Circulation. 2014;130:2071-2104.)


ORBIT−AF: 米国の心房細動患者を対象としたProspective, observational registry.
ORBIT-AFのデータより, 抗凝固薬の中止と, その間のブリッジング療法の有無とアウトカムを評価. (Circulation. 2015;131:488-494. )
 7372例で抗凝固薬を使用し, 2年で2803例の中断エピソードあり
 ブリッジングは24%で行われた(LMWH 73%, UFH 15%)
ブリッジング群ではより出血リスクが上昇し, 心血管イベントは有意差なし.

ブリッジングしたほうが予後が悪くなる結果となった.

BRIDGE trial: Afでワーファリンを使用している患者群で待機的手術を予定している患者群を対象としたDB−RCT (Perioperative Bridging Anticoagulation in Patients with Atrial Fibrillation. NEJM 2015)
 術前5日前にワーファリンを中断し,
 術前 3日〜24h, 術後 5−10日LMWHによるブリッジング療法群
  vs. プラセボ群に割つけ, 血栓症リスク, 出血リスクを比較.
 ワーファリンは術後24h後に再開.
 LMWHはダルテパリン 100U/kg q12hを使用

母集団はN=1884, 18歳以上の慢性Af, A Flutterで, 弁膜症合併も含む.
 3ヶ月以上ワーファリンを使用し, INR 2−3を達成している群
 比較的リスクの低いCHADS2 score ≤2ptが全体の6割を占めている。

プロトコール

アウトカム
 血栓症の頻度は0.4% vs 0.3%と有意差なし.
 Major, Minor bleedingはブリッジング療法群で有意に上昇する結果.

ブリッジングについて評価したStudyのメタアナリシス(BRIDGE trialを含まない)でも
 ブリッジングは出血リスクは増やすものの, 血栓症リスクは減らさない結果.
(BMJ 2015;351:h2391)

以上より、ブリッジングの必要は通常ないものの、
やはり血栓症リスクが高い場合は考慮した方がよいかもしれない。
その1つが人工弁患者となるが、それ以外の血栓症リスクを見てみる。
高リスク群: CHADS2 5-6点(BRIDGEトライアルでは3−4%しか含まれていない)
 リウマチ熱による弁膜症、最近の脳梗塞やTIAエピソード。
中リスク群: CHADS2 3−4点(BRIDGEトライアルでは35%をしめる)
低リスク群: CHADS2 0−2点

このリスクを考慮したブリッジング治療の推奨
手術前のブリッジング
術後のブリッジング

ちなみに、手技別の出血リスクは以下のとおり
高リスク群ならばまずブリッジングは行うべきであり、
中リスク群ならリスク-ベネフィットを考える。
低リスク群ならば必要なし、と考える。

理にかなっている。

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