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2015年6月22日月曜日

動物咬傷によるアナフィラキシー

ある日の当直での症例
中年男性で喘息発作との触れ込みで夜間の救急外来を受診。
喘息既往はあるものの小児喘息のみで成人になって発作はない人。
1時間ほど前より喘鳴が出現し、増悪傾向とのこと。

薬剤使用なし。

みると顔面は紅潮。体幹には紅斑がある。
喘鳴は両側で著明。
血圧は90台、心拍数110bpm、呼吸数24、SpO2 95%(RA)

紅斑は顔面、体幹にあるが、右手がもっとも強い。膨疹もある。
右手の人差し指を見ると、噛まれた後があり、その部位が発赤している。

ハムスターを数年間飼っており、ちょっと前(喘鳴が生じる前)に噛まれたと。
ただ、噛まれたことは何回もあり、いままでこのようなことにはなったことはないとのこと。

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症状からは喘息発作ではなく、アナフィラキシーショックであることは容易に推測がつくでしょう(実際はあまり紅斑は目立たず、小児喘息のみの患者での喘鳴、という点から他の原因を評価し、気づいた症例ですが)

他に薬剤や食事、蜂刺されなどは認められず、
アナフィラキシーの原因としてハムスター咬傷を疑いました。

アナフィラキシーショックの原因、といえば虫(蜂)刺傷や食物、薬剤が三大原因。
この3つで原因の90%を占める。

西欧(ドイツ語圏)の4000例のAnaphylaxis患者の原因
(Dtsch Arztebl Int 2014; 111: 367−75)


と、あまり動物咬傷は一般的な原因とは言えない。

動物や蜂以外の虫によるアナフィラキシーもチラホラと報告されており、
以下の動物、虫が原因の症例報告がある(The Journal of Emergency Medicine, Vol. 36, No. 2, pp. 148–156, 2009)

サシガメ, メクラアブ, ツェツェバエ, マツ行列毛虫
マダニ, ヒメダニ, サソリ, クラゲ, ヘビ, リンカルス

ラット, ハムスター, ネズミ

他には日本国内から犬や猫咬傷でアナフィラキシーとなった症例報告もあった。
(Chudoku Kenkyu. 2004 Apr;17(2):155-8. Allergol Int. 2012 Sep;61(3):511-2.)

動物では齧歯類での報告例が多い。
これはペットや研究用動物として暴露する人間が多い点、そして噛まれやすい点が理由として考えられる。

北海道大学において研究用ラットやウサギとの暴露歴がある学生, 研究員を対象に特異的IgE抗体を評価. (Arerugi. 2014 Sep;63(8):1132-9.)
 特異的IgE抗体陽性率はマウス(14.1%), ラット(17.9%), ハムスター(18.8%), モルモット(17.4%), ウサギ(11.3%)

 陽性例の方がアレルギー症状も多い結果(38.1% vs 8.8%)

アレルギー症状で一般的なのは吸入抗原による喘息発作や鼻炎、結膜炎であり、
アナフィラキシーとなるのは極一部のみ。(Ann Allergy Asthma Immunol 111 (2013) 223-224)

また、数年〜数十年暴露し、ある日突然アナフィラキシーショックを呈する症例報告も多いことから、注意が必要となる。(Ann Allergy Asthma Immunol 111 (2013) 223-224)

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ということで、ハムスター咬傷によるアナフィラキシーは報告例はあるが、意外に少ない。
判明していないだけなのか、本当に稀なのか。

動物がアナフィラキシーの原因としてあまり認知されていない点、
長年飼っていることが多いため、その点も認知されにくいのかもしれません。

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