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2012年7月25日水曜日

ICU患者における血糖コントロール

この話は当然NICE-SUGAR studyを抜きにしては語れない.
(NEJM 2009;360:1283-97)
ICUに3日間以上滞在する患者6104名のRCT.
 Intensive(目標血糖 81-108mg/dL) vs Conventional control(144-180mg/dL)群に割り付け, 死亡リスクを評価したstudy.
Outcome
Intensive
Conventional
OR
28D死亡率
22.3%
20.8%
1.09[0.96-1.23]
90D死亡率
27.5%
24.9%
1.14[1.02-1.28]
主な死亡原因



 Cardiovascular-distributive shock
20.3%
18.6%

 その他 心血管系イベント
21.4%
17.2%

 神経系イベント
21.7%
25.8%

 呼吸器系イベント
23.0%
23.6%

 その他
13.6%
14.8%

重度の低血糖イベント
6.8%
0.5%
14.7[9.0-25.9]
表のように90日死亡率はIntensive control群の方が高いとの結果.
ICU滞在期間, 挿管管理期間, 透析移行率は有意差無し.
Sub-analysisでは, 外傷、ステロイド使用例でIntensive controlの方がアウトカム良好に傾くが, 内科、外科ICU, DMの有無, APACHE II別, 敗血症群すべてConventional群の方が良好

このNICE-SUGARを含めた26 trialsのMeta-analysis(CMAJ 2009;180:821-7)では,
血糖目標 <110mg/dL(Intensive) vs <150mg/dLで比較し, 死亡リスクは有意差無しとの結果.
低血糖リスクは有意にIntensive群で大きい.
Outcome
IIT
Control
RR
死亡Risk
24.7%
24.7%
0.93[0.83-1.04]
低血糖Risk
10.7%
1.6%
5.99[4.47-8.03]

Jadad score 3以上のまあ比較的デザインが良いといえる7 RCTsのMeta-analysisでは,
(Chest 2012;137:544-51)
Outcome
OR
28d死亡Risk
0.95[0.87-1.05]
菌血症Risk
1.04[0.93-1.17]
腎透析療法導入Risk
1.01[0.89-1.13]
低血糖Risk
7.7[6.0-9.9]
血糖80-110mg/dL vs Leuven control群(平均150mg/dL)の比較において, 28日死亡率は有意差無し. 感染症も有意差は認めなかった.
ただし, このStudyにおいて, 栄養摂取ルート別にみてみると,
TPNを使用しているStudyでは血糖80-110を目標とした方が予後が良い傾向があり,
経腸栄養を使用しているStudyでは血糖コントロールの目標をやや緩めた方が予後が良い傾向がありそう.

また, ICUセッティング別に解析したMeta-analysisをみてみると
(JAMA 2008;300:933-44)
 Tight control (Very tight; =<110, Moderate <150) vs Usual Hospital Care(180-200mg/dL)での比較
ICU患者において, 全死亡Riskは有意差無し(RR 0.93[0.85-1.03])
  Very tight, Moderateでも有意差認めず
  Surgical, Medical, Medical-Surgical ICUにおいても有意差認めず
菌血症, 敗血症Risk RR 0.76[0.59-0.97]
 Very tight RR 0.80[0.57-1.11] Moderate RR 0.64[0.41-1.00]
 (ICUセッティング別)
 Surgical ICU RR 0.54[0.38-0.76] Medical ICU RR 1.16[0.78-1.73]
 Medical-Surgical ICU RR 0.86[0.71-1.04]
透析導入Risk RR 0.96[0.76-1.20]
 Very tight, Moderateでも有意差認めない
 ICU Setting別でも有意差認めず
低血糖(<40mg/dL) RR 5.13[4.09-6.43]
 Very tight, ModerateでもRiskは上昇する
 Medical ICUのみ有意差認めないが, 他ICU Settingでは低血糖Risk上昇

死亡率は変わらないものの, 外科ICUではしっかりと血糖を下げた方が感染症リスクが低下する可能性がある.

これらの結果を踏まえて, 2011年のACP clinical practice guideline 2011では,
1; Surgical ICUを除くICUではIntensive insulin治療は推奨されない
(Grade; strong recommendation, moderate-quality evidence)

2; Surgical ICUを除くICUでは血中Gluを正常化させる必要は無し
(Grade; strong recommendation, high-quality evidence)
3; Surgical ICUを除くICUでは血中Gluの目標値140-200mg/dLとする
(Grade; weak recommendation, moderate-quality evidence)
というような推奨がされている. (Ann Intern Med 2011;154:260-7)

更に言えばTPN中ならばガッツリとコントロールした方が良いし,
それが嫌ならばなるべく速く経腸栄養にもっていって、緩徐な血糖コントロールに持ち込むのがもっとも予後は良さそうだ。

また, ICU管理における低血糖エピソードは死亡リスクを有意に上昇させるというNICE-SUGARの解析も発表された 詳しくはコチラ

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