ブログ内検索

2012年7月11日水曜日

抜管後のDistress予測に肺エコーが有用


Crit Care Med 2012; 40: 2064–2072

ICU患者100名において, SBT→抜管を施行.
SBT前, SBT後1時間, 抜管後4時間で肺, 心エコー, BNP評価し, 抜管後のDistressとの関連性を評価.

SBTはT-tubeを用いて観察.
肺USは2-4MHzのプローブを用い, 左右上下, 前側後肺の12箇所で評価し, Score化

所見
Score
正常; A line もしくは B line2本未満
0
中等度の虚脱; 複数のB line
1
高度な虚脱; 放射状のB line
2
完全虚脱; Consolidationを認める
3



結果; 100名中SBT成功し, 抜管したのは86名.
 86名中29名で抜管後Distressを認めた.
 その14/29が再挿管, 15/29がNIPPVで管理され,
 NIPPVの15例中6例が再挿管.(再挿管は19/29)

肺US score, BNPの値の変化

全患者(100)
SBT失敗(14)
SBT成功(86)
P
SBT前の肺US
12[9-15]
13[10-17]
12[8-15]
NS
SBT後の肺US
13[9-17]*
15[13-21]*
13[8-17]*
0.002
SBT前のBNP(pg/mL)
227[80-590]
180[75-823]
241[79-541]
NS
SBT後のBNP
205[75-628]*
207[75-1260]*
201[82-553]
NS




Distress(-)(57)
Distress(+)(29)
P
SBT前の肺US
10[6-13]
15[13-17]
<0.001
SBT後の肺US
10[7-13]
19[16-21]*
<0.001
SBT前のBNP(pg/mL)
139[64-316]
475[232-689]
0.003
SBT後のBNP
137[65-315]
459[152-958]
0.002

* SBT前後で有意差あり


Distress(+)群ではSBT前後の肺US所見の増悪が顕著に認められる.

SBT後の肺US scoreと抜管後Distressのリスクを評価すると,
SBT後の肺US score >14をCutoffとすると, 感度82%, 特異度79%で抜管後Distressを予測可能
Score 13-17はグレーゾーンであり,
SBTを成功した患者群において肺US score≤12ならば抜管後Distressは低リスク,
Score>17では高リスクと言える.