AHA/ASAガイドラインではワーファリン内服中でもINR≤1.7であればt-PAの使用は可能とされているが, その根拠は無かった.
今回, GWTG-Stroke Registryにて, 脳梗塞にてt-PAを使用した23437名を解析。
その内7.7%(1802名)がワーファリンを使用中であり, INR 1.20[1.07-1.40]であった。
ワーファリン使用中とは, t-PA投与開始時から7日以内の使用歴があることを意味。
アウトカムは36時間以内の症候性脳出血, 致死的出血合併症とし,
ワーファリン使用群 vs 非使用群で比較した。
ちなみに, ワーファリン使用患者のうち, INR 1.5-1.7の上限ギリギリは269名(15%)。
Outcome;
症候性の脳出血, 致死的の出血合併症, t-PAによる合併症, 死亡率は有意差無し.
ワーファリン使用群の方が高齢, 基礎疾患も多く, 非調節ORではリスク増大するように見えるが, 調節ORでは特に有意差無し.
年齢<75yr, ≥75yr別の解析, INR値1.5-1.7群の解析でも有意差無し.
ワーファリン使用患者群のINR値と症候性脳出血のリスク.
INR 1.7程度まではリスク同等と言えるが、それ以上では上昇する可能性がある。
ただし, 日本人ではそもそも海外と比較してINRのターゲットが低く設定されており,
これを適応すべきかは不明。少なくともその点の評価は国内で必要でしょう。