N Engl J Med 2012.DOI: 10.1056/NEJMoa1204242 出版前の発表より
6S trial; Severe Sepsis患者798名を対象とした, Multicenter, triple-blinded trial.
6% Hydroxyethyl Starch(HES)を酢酸リンゲルに混合した外液(Tetraspan)
vs. 酢酸リンゲルによるFluid resuscitation群に割り付け, 90日間施行.
両群の輸液は33ml/kg/dを上限として行い, それ以上の補液が必要となる場合は両群とも酢酸リンゲルを用いた.
経過中に重度の出血, アレルギー反応, 透析導入となった場合は, 両者補液は終了とし, NSもしくは乳酸リンゲルを用いて治療を継続.
アウトカムは28日, 90日の死亡率, 腎透析移行率.
母集団のデータ
両群の補液使用量の比較
両群とも補液の総量は特に有意差が無い.
HESにVolume Expanderとしての能力は低い?
アウトカム
HES使用群で有意に透析導入率, 死亡率が高いという結果.
そもそも初日に8000mlの輸液を必要としており、その内、HESは1500ml程度のみ。
輸液量のうちのHESが占める割合はそこまで多いものではない。
にもかかわらず, 腎予後が悪いのは, HES自体が腎障害に寄与している可能性がある。
実はHESに含まれる高分子は体内では異物と見なされ, 代謝されず,
長期にわたり組織に沈着することが分かっている。主に腎, 肝, 骨髄.
>> 晩期の死亡率の上昇や腎予後不良はこの点が関与している可能性がある.
この結果は NEJM 2008;358:125-139 Sepnet studyと同様の結論であり,
ほぼ勝負あったか、という感じ。