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2022年4月8日金曜日

Multiple Drug Hypersensitivity Syndrome (MDHS)

抗菌薬にてDIHSを呈した患者.

重症薬疹であり, ステロイドで治療するが, 治療中に感染症を併発したため,

相互作用や共通点のない他のクラスの抗菌薬を使用・・・すると, さらに薬剤過敏症状や臓器障害が増悪・・・

といった経験, ありますか?


こういうのをMultiple Drug Hypersensitivity Syndromeというらしい

ちなみに以下も参照

DIHS(Drug-induced Hypersensitivity Syndrome), DRESS(Drug Reaction with Eosinophilia and Systemic Symptoms)

DIHSの重症度評価と治療方針

MDHは複数の構造の異なる薬剤に対して過敏性反応を呈する病態.

(Int Arch Allergy Immunol 2017;172:129–138)

・ペニシリンアレルギー患者の13%が他の種類の抗菌薬にも反応を示す.


 過去に薬剤アレルギーを示した患者群では,
 そうではない群と比較して他の抗菌薬へのアレルギーリスクが9.4倍となる

・さらに, 薬剤アレルギーの家族歴がある患者の10%で薬剤へのアレルギーを生じる報告もある.

・NSAIDはアレルギー機序よりもCyclooxygenase阻害といった作用により生じることが多いため, この場合はNSAID intoleranceと呼び, MDHとは分けて考える.


DIHS, MDH, NSAID intoleranceの比較

・DIHSからMDHに移行する例が多い


MDHでは薬剤反応性T cellが関与しているが,
薬剤間の交差反応ではなく, それぞれの薬剤に対して特異的に反応するT cellが存在する.

・交差反応を示すクローン性T cellは認められていない.

・また, 反応するT cellは其々で異なるサイトカインを分泌するため, 薬剤毎に症状も異なる.

・CD38+, PD-1+を示すT cellが多く発現している


MDHにおいて原因となった薬剤の例


1996-2018年に薬剤過敏でコンサルトされた症例全例をReview

・9250例で薬剤過敏の精査を行い,
このうち1819例で1剤以上の薬剤過敏が認められた.

・2剤以上の過敏症が認められた症例が201例.


 さらにMDHと診断された症例は45例(92件の薬剤過敏)
 

 薬剤過敏症例の2.5%がMDH

・アレルギーのタイプではI型とIV型アレルギーが多い.


 原因薬剤はペニシリンやキノロンなど抗菌薬が多い.

(J Allergy Clin Immunol Pract. 2020 Jan;8(1):258-266.e1.)


2013年の論文より, MDHの頻度を評価した報告のまとめ

(Curr Opin Allergy Clin Immunol 2013, 13:323 – 329)

・頻度はばらつきがあるが, <2-3%から10%前後の報告が多い.
・原因薬剤は抗菌薬が多い. 
 ステロイドも入っているというのがなんとも難しい