低栄養のアルコール多飲患者.
数ヶ月の経過で認知機能障害, 失調による歩行困難, ミオクローヌスを生じて受診.
栄養障害として, ビタミンB1, B12, 葉酸, 銅欠乏は全て否定されている.
他に想起すべき栄養障害は? また疾患は?
ちなみに皮膚炎や, 下痢はぱっと見ない.
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ペラグラ脳症
ペラグラにについては以下も参照
ペラグラ (Vitamin B3欠乏症)
Pellagra encephalopathy: ペラグラは必ずしも 3Ds(dementia, diarrhea, dermatitis)が揃うわけではない.
・特にアルコール依存によるPellagraでは, ビタミンB3の欠乏が早いため, 皮膚炎を生じないことがある.
また生じても軽度のみのため, 気づけないこともしばしば.
・アルコールによるPellagraでは, 脳症が主となるパターンがあり,
意識障害, 幻覚, トーヌスの亢進, 失調, ミオクローヌスを高頻度で認める.
・ミオクローヌスは50%で認められる報告もあり.
他のアルコール関連の脳症では, ミオクローヌスを認めるものは稀であり, アルコール関連でミオクローヌスが認められた場合, Pellagra脳症を疑うきっかけとなる.
(Neurol Clin Pract. 2015 Dec;5(6):472-474.)
数ヶ月の経過で進行する認知機能障害, 神経精神症状, 失調, ミオクローヌスという経過から, CJDに類似する
・臨床的にCJDが疑われ, 最終的に除外された59例のうち, 5例でPellagra脳症であったとする報告もある.
・36M以内の経過で進行(発症〜死亡まで)した認知機能障害患者で, CJD Surveillance Unitに1998-2009年に紹介された患者を対象.
・230例が紹介され, 神経病理学検査は223例で施行. 164例でCJDを確定診断. 7例は可能性が高いと判断された. 残りの59例ではCJDが除外された
・59例の最終診断
・Pellagra脳症と判断された5例
失調は4/5, ミオクローヌスが2/5で認められる
(Metab Brain Dis (2012) 27:231–235)
アルコールによるPellagra脳症 22例の解析
・死後に剖検され, ニューロンのDiffuse chromatolysisが認められた症例
・13例はMarchiafava-Bignami病, Wernicke-Korsakoff病との合併あり
・トーヌスの亢進が高頻度に認められ, ミオクローヌスは10±2 /22とおよそ半数で認める
・ミオクローヌスは刺激性のミオクローヌスであり脳幹病変の関連が 予測される.
(Brain 1988;111:829-842)