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2021年11月1日月曜日

低栄養、アルコール多飲患者でのミオクローヌス. 想起すべき栄養障害は?

低栄養のアルコール多飲患者.

数ヶ月の経過で認知機能障害, 失調による歩行困難, ミオクローヌスを生じて受診.

栄養障害として, ビタミンB1, B12, 葉酸, 銅欠乏は全て否定されている.

他に想起すべき栄養障害は? また疾患は?

ちなみに皮膚炎や, 下痢はぱっと見ない.


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ペラグラ脳症

ペラグラにについては以下も参照

ペラグラ (Vitamin B3欠乏症)


Pellagra encephalopathy: ペラグラは必ずしも
3Ds(dementia, diarrhea, dermatitis)が揃うわけではない.

・特にアルコール依存によるPellagraでは,
 ビタミンB3の欠乏が早いため, 皮膚炎を生じないことがある.


 また生じても軽度のみのため, 気づけないこともしばしば.

・アルコールによるPellagraでは, 脳症が主となるパターンがあり,


 意識障害, 幻覚, トーヌスの亢進, 失調, ミオクローヌスを高頻度で認める. 

・ミオクローヌスは50%で認められる報告もあり.

 
他のアルコール関連の脳症では, ミオクローヌスを認めるものは稀であり, アルコール関連でミオクローヌスが認められた場合, Pellagra脳症を疑うきっかけとなる.

(Neurol Clin Pract. 2015 Dec;5(6):472-474.)


数ヶ月の経過で進行する認知機能障害, 神経精神症状,
 失調, ミオクローヌスという経過から, CJDに類似する

・臨床的にCJDが疑われ, 最終的に除外された59例のうち, 
 5例でPellagra脳症であったとする報告もある.

・36M以内の経過で進行(発症〜死亡まで)した認知機能障害患者で, CJD Surveillance Unitに1998-2009年に紹介された患者を対象.

・230例が紹介され, 神経病理学検査は223例で施行.
164例でCJDを確定診断. 7例は可能性が高いと判断された.
 残りの59例ではCJDが除外された

・59例の最終診断

・Pellagra脳症と判断された5例

 失調は4/5, ミオクローヌスが2/5で認められる

(Metab Brain Dis (2012) 27:231–235)


アルコールによるPellagra脳症 22例の解析

・死後に剖検され, ニューロンのDiffuse chromatolysisが認められた症例

・13例はMarchiafava-Bignami病, Wernicke-Korsakoff病との合併あり

・トーヌスの亢進が高頻度に認められ,
ミオクローヌスは10±2 /22とおよそ半数で認める

・ミオクローヌスは刺激性のミオクローヌスであり脳幹病変の関連が
予測される. 

(Brain 1988;111:829-842)