(Chest. 2021 Nov;160(5):1660-1669. doi: 10.1016/j.chest.2021.05.024.)
COPDの急性増悪では, PSL 30-40mg/dのステロイドを, 5-14日間投与することが各種ガイドラインより推奨されているが, 実際どの程度の投与量が適切かは不明確である
中国におけるOpen-label RCT.
40歳以上のCOPD急性増悪で入院した患者群を対象とし, ステロイドの投与量と予後を評価
・急性増悪はCOPD患者における呼吸器症状の増悪で定義
・除外項目は喘息, 1ヶ月以内のGC使用, 画像上肺炎, 気胸, 肺血栓塞栓症を認める症例, 左心不全, コントロール不良の高血圧, 人工呼吸器が必要となる病態
・ステロイドはPSL 40mg/dを投与するControl群と,
各患者の因子により調節する群に割り付け, 治療成功率, 予後を比較.
・ステロイドは5日間使用する
・抗菌薬やSABA吸入は両群で通常の治療として行われる
PSL計算式
・0.5mg x 体重(kg) x (1+点数)
最低は点数-1で, PSL 0mg
最大は点数+4で, 2.5mg/kg
・Anthonisen typeは, 呼吸苦増悪, 喀痰増量, 膿性喀痰の 3項目を評価し,
Type 1が3項目すべて認める
Type 2が2項目認める
Type 3が1項目認める (症状が少ないほどPSLを増やす?)
母集団
アウトカム
・治療失敗リスクは 有意に個別化したGC投与群で低い結果
短期的な治療失敗リスクが低下し, 中期的には有意差はない
・院内治療失敗: 死亡, 人工呼吸器使用, GCの追加, アミノフィリン使用, 抗菌薬のUpgrade, 呼吸苦の持続, 気管攣縮, 他の呼吸器症状の増悪
・短期治療失敗: 院内治療失敗+1ヶ月以内の再入院, 死亡
・中期治療失敗: 死亡, COPD増悪による再入院(退院後≤180d)
この母集団における個別化したPSL投与量はおよそ55-60mg/d
・PSL投与の総量は, 個別化群で318mg[0-880], Control群で309[160-1800]
・Rescue Doseの必要総量が, Control群で有意に多く,
個別化群で140mg[80-395] vs Control群で380mg[150-730]
Control群ではより長期間のRescue doseとなりやすい
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従来のPSL 30-40mg/dではCOPD急性増悪時の対応としては少ない可能性がある.
各患者の因子で調節した, 個別化したPSL投与量調節を行うことで, 短期的なアウトカムを改善させる可能性がある.