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2020年4月6日月曜日

上部消化管出血に対する内視鏡検査のタイミング

上部消化管出血の以前のノート

高リスク群の上部消化管出血において, どのタイミングで内視鏡検査を行うのかは, あまりRCTはない. あっても小規模だけ.

そりゃ早ければそれに越したことはないであろうが, 血餅で病変の観察が不十分であったり, または夜間や休日に救急搬送となった例では専門医呼び出すべきか, 転院させるべきかどうか, という問題も生じる.

今回 n=500規模のRCTが発表

(N Engl J Med 2020;382:1299-308.)
上部消化管出血(吐血, 黒色便)を認め, Glasgow-Blatchford score≥12を満たす患者群を対象としたRCT
・緊急内視鏡施行群(<6h) vs 早期内視鏡施行群(6-24h)に割り付け, 再出血リスクを比較.
除外項目: <18, IC不可, 妊婦, 終末期
 低血圧性ショック, 初期蘇生により安定しない患者これらは緊急内視鏡へ.
両群とも高用量PPIを使用(80mg IV, 8mg/hrで継続)
 内視鏡後もPPI72h継続.
 食道静脈瘤出血が疑われる患者(既往や肝硬変)では, 血管収縮薬と抗菌薬投与も併用.

母集団
・潰瘍が大半
・静脈瘤も1割弱含まれる

両群における内視鏡検査のタイミング

アウトカム
再出血リスク, 死亡リスクは両群で有意差なし
・内視鏡治療を行うのは緊急内視鏡群で多い.

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・上部消化管出血において, 初期治療で血行動態が安定すれば, 朝まで待ってから内視鏡, という流れでも予後は増悪させない.
・PPIは高用量投与することと, これは大規模RCT中だが, トラネキサム酸を使用すると尚よいかも
・結構動態安定化しない場合や, 再増悪時は待たない方が良いのは当然