使用により自己免疫疾患を合併するirAEが問題となりやすいが,
治療開始前の自己抗体陽性はirAEのリスクになり得るのだろうか?
2014-2018年にPD-1/PD-L1阻害薬を使用した191例の解析
(Clin Transl Oncol. 2019 Oct 1. doi: 10.1007/s12094-019-02214-8. [Epub ahead of print]
Safety and efficacy of PD-1/PD-L1 blockade in patients with preexisting antinuclear antibodies.)
・使用前のANA陽性例(≥1:160)と陰性例(<1:160)において, irAEリスクが変わるかどうかを評価した.
・ANA陽性例は9例, 陰性例は182例.
アウトカム
・ANAはirAEリスクにはならない結果
また, 背景に自己免疫性疾患がある8例中, irAEを発症したのは3例.
原疾患の増悪を認めたのは1例
・8例中ANA陽性は1例のみ
NSCLCでPD-1阻害薬を使用した83例の解析
(Lung Cancer 130 (2019) 5–9)
・このうちANA陽性例(≥1:40)は18例であった.
・その全例が治療開始時に自己免疫疾患の兆候を認めていない
irAEの頻度:
・それぞれ1/3程度でirAEを発症. ANA陽性はリスクにはならない
Nivolumab, Pembrolizumabを使用した137例の解析
(JAMA Oncol. 2019 Mar 1;5(3):376-383.)
・治療開始前のRF(≥15IU/mL), ANA(≥1:40), 抗サイログロブリン抗体, 抗TPO抗体の有無とirAEリスクの関連を評価
・どの患者も活動性の自己免疫疾患の診断は無し.
治療によりirAEを発症したのは66例
自己抗体とアウトカム
・RF陽性例ではirAEリスクは上昇. 特に皮膚の>G3 irAEは上昇
・ANAもirAEリスク上昇に関連する.
・抗甲状腺抗体は甲状腺機能低下症発症に関連
また, irAEを発症した方がPFS, OSは良好
RF陽性の方がPFSが良い
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治療前のANA陽性はirAE発症を予測しないとする報告が多く, あっても軽度のリスク因子程度と考えられる.
抗甲状腺抗体陽性患者では治療により甲状腺機能低下症が発症する可能性はあるかも.
RFは皮膚障害と関連している可能性がある.
また自己抗体陽性(特にRF)の方が治療反応性が良好?という傾向ありそう